血液ガスABC (第2版)

血液ガスABC (第2版)

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  • サイズ A5判/ページ数 145p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784498030527
  • Cコード C3047

出版社内容情報

《内容》 数年ぶりに本書を改訂します.基本を書いた本で大きな変化は必要ないのですが,それでも時代に合わなくなった点も少しみつかりました. 1999年6月 帝京大学教授 諏訪邦夫 初版の序 「血液ガス」を多くの医師,検査技術,ナースなど広い方々に理解して頂くべく,図を中心に分かり易く解説した.“血液ガスとは”,“血液ガスの測定”,“血液ガスの臨床使用”の3部構成で,読者の関心に応じて,どこから読んでも,又,丁寧によまなくとも理解できるよう説かれている.小冊子ながら第一人者が,巧妙に著わした“血液ガス”のマスターのためのエッセンスである. はじめに  “血液ガス”に取り組んだのは,医師になって間もなくの1963年ころです.以来4半世紀以上が経過しました.その間,永い休みはなく継続してこのテーマを勉強してきています.その位,血液ガスは面白いものです.  それにしても,測定器も使う知識も随分と進歩し普及したものです.「血液ガスの臨床」を書籍として出版したのは1976年ですが,この時点では全自動分析装置は販売され始めたばかりでした.したがって,書物そのものは手動の装置を基礎として執筆しました.各種の計算手法としても,当時の花形“電卓”を推薦しています.温度補正は装置自体は行なってくれず,ノモグラムをよく使ったので,原理のみでなく使用法まで詳しく説明しました.大型コンピュータで作った温度補正表も添付しました.当時は,パソコンなど実物はもちろん概念さえも存在しませんでした!  その後,さらに基本的でわかりやすいものとの要望に応える意図で,「血液ガストレーニング」を出版しています.これも多数の方々にお読み頂いて嬉しいことです.  毎年,多数の医師・ナース・検査技師の方々,その他の方々も含めて,この領域に興味をもつ方々が増えています.著者としても,これまで書籍のみでなく雑誌の解説論文や各種の講義講演などを通じて随分努力を重ねてきているつもりですが,それでも満足できるレベルには達していませんし,知識と認識をひろめる余地も残っています.  「血液ガストレーニング」以上にわかりやすく実戦的なものを,という考えは中外医学社とも話し合ってプランしていましたが,血液ガス測定装置を製造販売しているチバ・コーニング社からの依頼を契機に今回決断しました.  本書の特徴として,“図を中心に作成した”点を上げます.一般の情報交換でももちろんですが,“血液ガス”にはとくに図が必要だからです.この試みは総じて成功したと思います.もっとも,著者自身に“漫画を描く能力”がないのが残念です.別に出版した「麻酔の科学」(講談社,ブルーバックス)のように,基本的に漫画中心の出版物と異なり,医書の場合は読者も出版社も“漫画”になれない分だけ著者からも注文が付けにくいからです.  中外医学社と青木社長,とくに永年の盟友である荻野邦義氏には今回もいろいろとお世話になりました.またチバ・コーニング社の安田博文氏は本書成立の直接のきっかけを作って下さいました.ここにしるして感謝の意を表します. 1990年初頭 諏訪邦夫 著者連絡先: 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学医学部麻酔学教室 電話(03)815-5411 ファックス(03)5684-0218 本書の使い方  本書は,“第1部 血液ガスとは”,“第2部 血液ガスの測定”,“第3部 血液ガスの臨床使用”の3部からなっています.  本書は,「始めから順序よく読んでわかる」ように書いたつもりです.本を読むのに「真面目に始めから順序よく読む」人が多いでしょうが,本書はそれでわかりやすいはずです.その場合でも,あまり“丁寧に”は読まないで下さい.わかりにくいところは遠慮なくとばして読んで下さい.“わかりにくいのは読者が悪いのでなく,書いた著者が悪い”と思って頂いて結構です.  読者の基礎知識も,対象となる装置や患者や測定条件なども,一人一人異なります.一部の方々にとって,私の記述は不必要にくどいでしょうし,逆に簡略に過ぎたりもするでしょう.とにかく“血液ガスとはなにか”を漠然と頭に入れて下さい.それから細かい記述に戻って下さい.  血液ガスそのものの概念や測定のことは知っているが,患者や人体との関係をもっと知りたいという方は,いきなり第3部に挑んでもよいでしょう.文章を描く際に,実例から入るのが私は好きで,例えば“血液ガストレーニング”ではそうしました.本書ではもっと標準的な「基礎から積み上げる」方式をとりました.しかし,ある程度基礎のある人なら実例の方が興味深いでしょう.  “知識”だけを身につけるのなら,どこから読んでも一度読めば同じことでしょう.しかし,血液ガスの問題は単純な“知識”ではありません.もっと深い,“認識”が必要です.そのためには本書も全体として何回か読まれることを予想しています.  巻末の文献は,私のものが中心となっていますが,これは他の方々のものを無視するという意味ではありません.“この本が気に入って同じ著者のもっと突っ込んだものを読みたい”という方のために,私の本を上げたのです.血液ガスに関する本は他にもあります.それは店頭なり図書室なりで十分検討して頂くようにお願いします.    《目次》 目次 第1部 血液ガスとは 1 “血液ガス”と“血液ガス分析”の意味は 2 2 血液ガスの正常値は 4 3 ガスの“濃度”と“分圧”とは 5 4 血液の酸素“分圧”とは 7 5 血液の酸素の“量” 8 6 血液の酸素“飽和度” 9 7 何故“分圧”を使うか 10 8 血液ガスの“1次パラメーター”と“2次パラメーター” 12 9 動脈血血液ガスの異常値の意味 13 10 酸素解離曲線 14 11 酸素解離曲線の憶え方 16 12 酸素解離曲線の移動 17 13 酸素解離曲線の極端な移動 19 14 酸素飽和度と酸素含量の関係 21 15 炭酸ガスの分圧と含量 23 16 重炭酸イオンを炭酸ガスに入れる場合と入れない場合 24 17 炭酸ガスのmEq/lとvol%の関係 25 18 炭酸ガス解離曲線 27 19 血圧ガス値の基礎:酸素摂取量と炭酸ガス呼出量との関係 29 20 ハイポキセミアのいろいろ 1 31 21 ハイポキセミアのいろいろ 2 33 22 肺の血液酸素化能と評価 34 23 肺胞気酸素分圧と動脈血酸素分圧とは一致しない理由 その1.理想的な肺 36 24 肺胞気酸素分圧と動脈血酸素分圧とは一致しない理由 その2.効率0%の肺 37 25 効率の評価と実際の肺 38 26 酸素化良好な肺と酸素化不良な肺 40 27 シャントとPaO2 42 28 PaCO2と換気量 44 29 炭酸ガス呼出能とはなにか 46 30 死腔の代表-気道部分の換気 48 31 呼吸死腔の基本的な考え方 49 32 pHと酸塩基平衡 51 33 呼吸性酸塩基平衡異常と非呼吸性(代謝性)酸塩基平衡異常 52 34 呼吸性酸塩基平衡異常とpHの変り方 54 35 代謝性酸塩基平衡と重炭酸イオンの変り方 55 36 複合異常と“代謝” 56 37 水素イオンの大きさと活動性 58 38 血液ガスを利用した二次パラメーターの使い方と意義 60 第2部 血液ガスの測定 1 採血と検体取り扱いの注意 62 2 採血の状況を記録すること 62 3 アレンのテスト-橈骨動脈と尺骨動脈の吻合を確認するテスト 63 4 動脈穿刺と動脈カテーテル挿入のこつ 64 5 毛細管血や静脈血で得られる情報 67 6 ヘパリン溶液によって血液サンプルはどの位希釈されるか 68 7 採血時に強く引くと真空でガスが逃げて誤差を生む 70 8 気泡が入ったらソーット追い出す 72 9 注射器の材質(プラスティック,ガラス)の影響 74 10 温室放置による数値の変化 75 11 時間がかかりそうならサンプルを冷やすのが有効 76 12 酸素電極の構造とPO2測定の原理 78 13 炭酸ガス電極の構造とPCO2測定の原理 80 14 pH電極の構造とpH測定の原理 81 15 血液ガス値の温度補正 82 16 ケルマンとナンの温度補正ノモグラム 84 17 コンピュータによる血液ガスデータの解析 86 18 血液ガスとコンピュータの相性 87 19 コンピュータによるデータの視覚化 89 20 コンピュータによる血液ガスの教育 90 21 血液ガス学習プログラム 91 第3部 血液ガスの臨床使用 1 血液ガスの問題の具体例を上げながら、いろいろ勉強していこう 94 2 数値が正常でも機能が正常とは限らない 96 3 一般検査のPaO2は“ノーマル”過ぎる 98 4 この患者の術前の問題 100 5 肥満者のPaO2と体位 ・麻酔 102 6 肥満者のPaO2が麻酔時に低下する条件 103 7 肥満者のPaO2は麻酔時に何故低下するのか 104 8 PaO2は測らねば分からない 106 9 術直後の呼吸不全 107 10 パルスオキシメーターの価値 108 11 術後呼吸不全 110 12 高山病 112 13 ハイポキシアと頭痛 113 14 ハイポキシアによる利尿と乏尿 114 15 高山病の予防と治療 116 16 高地順応 117 17 アセタゾルアマイド(ダイアモックス)の働き 119 18 高山病の治療 121 19 喘息発作と血液ガス その1 122 20 喘息発作と血液ガス その2 124 21 “低換気と過換気”は換気の“量”でなくPaCO2で定義 126 22 死腔とPaCO2上昇 128 23 スワン-ガンスカテーテルと混合静脈血の採取 130 24 心停止による静脈血のPCO2上昇 131 25 VE×PaCO2(VPP) 132 26 ARDSと血液ガス 133 27 肺気腫と血液ガス 135 28 人工呼吸器のセッティングと血液ガス 136 参考図書と参考文献 139 索引 143

目次

第1部 血液ガスとは(“血液ガス”と“血液ガス分析”の意味は;血液ガスの正常値は;ガスの“濃度”と“分圧”とは ほか)
第2部 血液ガスの測定(採血と検体取り扱いの注意;採血の状況を記録すること;アレンのテスト―橈骨動脈と尺骨動脈の吻合を確認するテスト ほか)
第3部 血液ガスの臨床使用(血液ガスの問題の具体例を上げながら、いろいろ勉強していこう;数値が正常でも機能が正常とは限らない;一般検査のPaO2は“ノーマル”過ぎる ほか)

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