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内容説明
“銀の樹”―それは塚良市に突然出現し、周辺の建物を呑み込んで巨大に成長した、金属の幹とガラスの葉を持つ樹のことだ。隣町にすむ僕は“銀の樹”を自分の目で見、できればガラスの葉の一枚でも欲しいと思って、避難命令で誰もいなくなった町を塚良市に向けて自転車を走らせた。途中、無人のバス停で僕を呼び止めたのは、夏なのに不自然に白い肌と大きな瞳を持った神秘的な女の子。僕は、なりゆきで彼女と道連れになるが、しばらくたって彼女はこう口にした。「あたし、どうしても“銀の樹”にいかなくちゃならないの。あれは、あたしを殺すために来たのだから」―僕たちは“銀の樹”にたどり着けるのだろうか?そして、“銀の樹”と彼女の関係は。
著者等紹介
葛西伸哉[カサイシンヤ]
青森県生まれ
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
(●▲●)とらうまん(*^◯^*)
13
【★★★★☆(良い意味で裏切られました)】隣まちに突如宇宙から降ってきた《銀の樹》、それを好奇心から直接見に行こうとする平凡な……特別や非日常になんとなく憧れてみる年頃の“僕”と、バス停で偶然出会った謎多き少女の物語。1巻完結ものラノベにおいて「青春ボーイミーツガールの皮を被った何か」のような作品をたまに引くことがあって、そうした作品はだいたいトンデモ展開で好みじゃなかったり地雷だったりするので本作も警戒しながら読んでたのですが、これはまさしく純粋でまっとうな“ひと夏のボーイミーツガール”でした!2014/07/30
りこ
8
空から襲来した金属の幹とガラスの葉を持つ〈銀の樹〉を一目見るために自転車に乗ってひた走る少年は、道すがら白いセーラー服の少女に出逢う。彼女はあの樹は自分を殺しにきたのだと主張し、樹の元まで連れていってほしいと頼んでくる。何にでもなれるはずの少年とすべてを失くした少女が〈銀の樹〉を目指した三日間の顛末とは――? 距離を縮めていく二人の姿を想像すると自然と笑みが零れてきた。青森という舞台設定がノスタルジーを誘う。ラストもよい。ガラスケースの中に閉じ込められて決して色褪せない種類の美しさを持つ物語だった。2020/07/25
マギカ鍋
2
青森に落ちた隕石は金属質の樹木へと成長し時々種のようなものを吐き出し建物などを破壊し始める。少年は好奇心にかられ樹木を目指すが途中で樹木に殺される事が運命と語る少女と出会う。死に拘る少女への恋心も混じり懸命に引き留めようとする少年と年上振った態度で少年をからかう少女の掛け合いが雰囲気を作り出している。自分の周りに起こる事は時に運命のように見えたりする。しかし、その事に囚われ酔ってしまえば自分を狭めかねない。幸せを望むなら多くの偶然と出会いを大切にして手繰り寄せればいいだけ。人は今日も生きているのだから。2013/01/26
ふじさん
2
「セカイ系」の体裁を取った「アンチ・セカイ系」小説。生きる希望が湧いてくる秀作。2009/11/16
さとさとし
1
2年くらい前にもらった本。青森の中3の男の子と高1の女の子が自転車二人乗りで旅をする話。セカイ系?ジュブナイル?ラノベ。あんまり期待してなかったがこの自転車旅が楽しかった。どうやら私は自転車旅小説好き。久々にラノベを読んだので、挿絵があることが妙に新鮮。そして、思っていたのとちょっと違う。 2004年の作品でもあまり違和感はないが、携帯電話の描写が古い。あと「電波」って言葉、今使うか?「電波」≒「厨二病」だな、そういえば。でも厨二病女子って聞いたことないな。2022/06/11