内容説明
シルクロードの開拓者として名高い漢の張騫が目指したのは大月氏と呼ばれる遊牧民族の国であった。この民族は中央アジア史上の重要なカギを握っているが、その実態は謎に包まれている。本書では、中央アジアにおける最新の考古学資料を紹介し、その成果を充分に活用して大月氏の実態解明を試み、中央アジアにギリシア人が建てたバクトリア王国を滅ぼした謎の民族の正体、中央アジアからインドにわたる帝国を築いたクシャン王朝と大月氏の関連をも探る。また、後半の著者自身による大月氏関連の遺跡訪問記からは、旧ソ連邦中央アジアの現状を窺うことができ、中央アジアの歴史、文化に関心を持つ向きには興味深い読み物となっている。
目次
遊牧民族と文明社会―漢と匈奴
西方の覇権争奪戦―張騫の遠征
月氏西遷をめぐって―塞民族の虚構性
バクトリア王国と大月氏―アイ・ハヌム遺跡
クシャン王朝の勃興(碑文から大月氏との関連を探る;ティリア・テペの黄金遺宝)
大月氏の足跡を尋ねて(スルハン・ダリア流域の遺跡;天山北麓の遺跡)
ユーラシア草原地帯の考古学
著者等紹介
小谷仲男[オダニナカオ]
1938年2月福井県小浜市生まれ。1960年京都大学文学部東洋史卒業。1965年京都大学大学院博士課程修了。鳥取大学助教授、富山大学人文学部教授を経て、京都女子大学文学部教授。ガンダーラ仏教美術史、東西文化交流史専攻。文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。