内容説明
本書では、現代日本人の食の堕落の現状を検証するとともに、この堕落が単に食の世界だけにとどまるものではなく、ひいてはこの民族の存亡にかかわるきわめて重大な現象であることに警鐘を鳴らすものである。
目次
第1章 日本食を食べない日本人は堕落する
第2章 日本の食の堕落と崩壊
第3章 美しき哉、日本食の本質
第4章 日本食の将来
第5章 この国の食の堕落をいかに食い止めるか
著者等紹介
小泉武夫[コイズミタケオ]
学者、作家、エッセイスト、冒険家、発明家の顔を持つ。1943年、福島県の酒造家に生まれる。東京農業大学教授。専攻は醸造学・発酵学。農学博士。国立民族博物館共同研究員、福島県しゃくなげ大使や東都大学野球連盟理事も務める。食物・微生物関連で特許二十件を超えるほか、「日本醸造協会伊藤保平賞」「三島雲海学術奨励賞」など受賞
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感想・レビュー
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てんてん
2
なんとなく図書館で借りた本。『感情的』という感想が多いなあと気になっていたが、なるほど!幕内秀男さんの著書は何冊も読んだが、シンプルな日本食がよしとする基本的なところは一緒。でも日本食推進論者は、なんで皆感情的なのかな。ご飯を推進するのは、健康の面でも、日本の一次産業発展の面でもいいことだとおもうんだけどね~。2012/07/20
あーさー
1
日本の「食」を憂いている一冊。筆致がやわらかいため、頭にスッと入ります。2023/07/11
廣瀬広恵
1
正論。 常々不思議なのは手をかけて調理する方がコストがかかるという現実。 パンや漬物、ラー油やドレッシング、和菓子、洋菓子etc 出所の確かなものでと限定すると価格が市販品より安くなることはない。 つくづく食物が、衣服や雑貨と同じ、工業製品になってしまっているんだなと思う。 嘆き節の多い本だったが、絶望感に裏打ちされているからか。 ただし、偏った食事を続けている多数者にはもはや理解できる内容ではないと思う。2013/03/09
ao-king
1
小泉先生の著作は軽妙なエッセイ風のものしか読んだことがなかったので、なんだか新鮮な感じ。極度の和食礼賛で、おじいちゃんのお小言を聞いている気分にもなったが、言っている内容自体には非常に納得できた。「日本人は自分たちの食文化を大事にしない」という意見はごもっとも。ただ、日本人というのは「0から1と生み出す」のではなく「1のものを10にする」、つまり外国からの技術、文化を受け入れ、それを自分たちなりに工夫することで発展してきた民族。それが食の世界にも当てはまるのは仕方がないような気もする。2013/01/27
ゆきのすけ
1
感情的に思えるのも、それだけ日本の食文化の堕落に危機感を覚えているからかな。だしひとつをとっても「グルタミン酸ナトリウム」を加えれば良い、となれば画一された味覚になってしまう、というのに納得した。たまにはじっくりだしをとって料理を作るようにしたい。土作りの大切さがもっと周知のこととなってほしい。おいしい野菜、果実、穀物、水…どれも豊かな土のめぐみ。2012/02/20