出版社内容情報
現代は、新型コロナウイルス感染症の急拡大を筆頭に、予測困難な時代と言われる。グローバル化が進み、より多様な価値観とある社会において、様々な文化や行動様式をもった人々と共に生き、他者の価値観やその背景を踏まえながら、協働したり、問題を解決したりすることが必要となる。本書では、そうした「多様性」に焦点を当て、「多様性を理解する視点」と「多様性を活かす視点」という二つの視点から、各教科等の授業実践を紹介する。
以下、本書「はじめに」より-----------------------------------------------------
多様性の教育は、金子みすゞの有名な詩「私と小鳥と鈴と」の最後の「みんなちがって、みんないい」ということを共有することに尽きるのではないかと思います。「みんなちがう」ことを理解することは、「多様性を理解する」ことにほかなりません。また、「みんないい」という価値観は、多様性を受け入れ、それを生かすことに直結します。
言葉で言えば簡単ですが、過去の歴史や目の前の現実を見ると、豊かな多様性を持ち、だれでものびのびと自己実現をはかることのできる社会を作り上げることは、決して容易なことではありません。さらに2020年から続くコロナ禍は「非常時」であるといわれ、「コロナとの闘い」という勇ましい言葉も飛び交います。そのような状況では、「多様性」という言葉はどうも旗色が悪くなりがちです。学校においても、感染対策を厳しくすると、一様な行動を求めたり、人との接触機会を減らしたりなど、多様性を実感できる場を減らさざるを得ません。しかし、そのような時だからこそ、多様性の教育の重要性が増しているのではないでしょうか。教科の学習や行事など学校のあらゆる場面において、多様性を重視していくことが、将来の多様性豊かな社会の実現につながっていくと思います。
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多様な考えをもつ他者と、多様な方法で生き抜く子どもを育てる「竹早流」教育実践!
内容説明
多様な考えをもつ他者と、多様な方法で生き抜く子どもを育てる「竹早」流教育。
目次
第1章 理論編(多様性(教育)研究の流れ
「多様性の教育」の研究の目的・経緯・意義)
第2章 実践編(国語科3年生 句会を開こう―フリー俳句、アンサー俳句、テーマ俳句;社会科3年生 共生社会のあり方を考える公民の授業実践;数学科3年生 数当てゲームの答えが2つある理由を考えよう;理科1年生 花のつくりとはたらき―「花」を植物にとっての生殖器官であると捉え直す;音楽科1年生 サンバに親しむ ほか)
第3章 考察・展望編(鼎談「竹早」×「多様性」の現在と未来のあり方―竹早中学校の教育実践を多様性の観点から見つめ直す)