出版社内容情報
恒星を巡る、想像を絶する生態の生命体との邂逅を描くヒューゴー賞受賞中編「島」、シャーリイ・ジャクスン賞受賞の驚愕の一人称短編「遊星からの物体Xの回想」、任務遂行のため実験的に意識を与えられた無人軍用ドローンの進化の極限を描く「天使」など、星雲賞受賞作家の真髄を示す傑作ハードSF11編を厳選した、日本オリジナル短編集。
内容説明
出発から十億年以上、もはや故郷の存続も定かでないまま任務を続けるワームホール構築船と、直径2億kmの巨大宇宙生命体との皮肉な邂逅を描くヒューゴー賞受賞作「島」、かの有名な物語が驚愕の一人称で語り直される「遊星からの物体Xの回想」、意識を与えられた軍用ドローンの進化の果てをAIの視点から描く「天使」―星雲賞受賞『ブラインドサイト』著者の傑作ハードSF集。
著者等紹介
ワッツ,ピーター[ワッツ,ピーター] [Watts,Peter]
1958年カナダ・カルガリー生まれのSF作家、海洋生物学者。2006年発表の長編『ブラインドサイト』(邦訳2013年)では、星雲賞海外長編部門ほかフランス・ロシアなど6ヶ国で7つの賞を受賞し、現代随一のハードSF作家として世界的な名声を博す。中編「島」で2010年ヒューゴー賞中編部門を、短編「遊星からの物体Xの回想」で2011年シャーリイ・ジャクスン賞短編部門を受賞
嶋田洋一[シマダヨウイチ]
1956年生まれ。静岡大学人文学部卒。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
sin
62
お目当ては“X”あの『遊星からの物体X』を異なる視点から語り直す…異質な存在は我々人類でありXはその存在矛盾を考察し人類に救済をもたらそうとする存在として語りかける。作者の共通のテーマは“意識”である。この短編集に於いてもAIに、異星人に、性癖に、自然現象に、死の瞬間に、人体改造に…手を変えて問いかけている。意識はある、果たして魂は存在しているのだろうか?人が死に至った後に肉体という意識の発生装置を失ってなお残る意識が存在するとは思えないのだが、作者はSFと云う検証手段で答えを出そうとしているのだろうか?2020/02/25
ニミッツクラス
19
19年の税抜1200円の初版を読了。著者の25作ほどある短編の中から11編をチョイス。日本オリジナルで邦題は「巨星」なのに英語表題は「島」を使用。映画版、ノベライズ版が元にある「遊星からの…」を読むと、内容が難しいのではなく著者の理系的筆致が面倒なのだと言う事が判る(笑) 巻末では“サンフラワー”Sの4編のうちの3編を時系列に配置した。乗組員とワームホール構築船のどちらが主体か読者の取りようだが、永遠とも言えるタームの扱いに幾分気の滅入る話。叙情的な「乱雲」は本書中では最初期(94年)の作品。★★★★☆☆2019/10/15
みき
16
ピーター・ワッツのストーリーの主題は、運命論と意識だ。自我のない知性や自閉症スペクトラムにおける知性の、闇雲に感じられる働きが実は世界の真実であって、意識や自由意志で自分や周りとの相互関係を操作していると考えている人々が見ている世界は、錯覚のようなもの。すごく面白かったけれど、前書きの解説なしには設定が飲み込めず読めない、という感じの没入したストーリが多い。2021/10/17
橘
14
ヒトならざるハードに意識が宿る。その意志が立ち上がる瞬間を、異なる正義が為される無限を、ワッツは短篇に凝縮してみせた!知性・意識・自立して思考するとは何か。生命の枠を超えて問い続ける、傑作ハードSF集。2019/09/20
緋莢
13
11編収録。6000万年以上前に地球を出発したワームホール構築船「エリオフォラ」が 登場する表題作含む11編収録。〝実験的意識”を 与えられ、実戦経験を通じて学習、急速に進化する無人軍用機「ドローン」を書いた 「天使」は、わずか20ページほどですが、中身は非常に濃密。「乱雲」は 雲が知性を持ち、人類に攻撃をしてくるようになった世界。多くの人々が地下に 移る中、娘と共に、主人公は地上にいて…設定にもおおっ!となりましたが 内容自体も非常に好みでした(決して明るい内容では無かったですが)2024/12/16