内容説明
人口問題解決のため、亜光速船による太陽系外探査が計画される。莫大な距離を隔てた宇宙船と地球を結ぶには、双子に潜在するテレパシー能力の活用が必須だった。ぼくとパットも選出されたが、搭乗できるのは一人だけ。選ばれたのはパットだった。ぼくは地上に残らなければならない。だがパットが出発を前に重傷を負い、急遽ぼくが乗り込むことに。ただし帰還の可能性は36分の1!
著者等紹介
酒匂真理子[サコウマリコ]
1949年生まれ。フェリス女学院高校を経て、1971年、横浜市立大学文理学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hit4papa
58
人口増加により植民星の探査が余儀なくなった未来を描く50年代冒険SF。亜高速宇宙船団を航行させるため、地球との連絡の時間差を埋めるにはテレパシーを通信手段とするしかない、という設定です。乗員として選ばれた双子のテレパスたちは、片方が地球、もう片方が宇宙から交信を行うのです。図らずも選ばれてしまった少年の目を通して、船内での出来事、未知の惑星調査の様子が描かれます。ファーストコンタクトあり、地球時間70余年後の再会ありとドラマチックな物語に仕上がっています。深く考えずに読み進めると存分に愉しめるでしょう。2023/04/11
七色一味
22
読破。再読です。今日は、ハインラインとアシモフの日だなぁ^^ ハインラインのジュブナイルは、どれも質が高いです。『スターファイター』『スターマンジョーンズ』『レッドプラネット』…。私はハインラインのジュブナイルが大好きで、取っ替え引っ替え読み返しちゃう方なんですが…。本書も好きな本の一冊で、双子にあると言われるテレパシーを扱った宇宙ものです。なんだかんだと辛いことや苦しいことが起こるんですが、彼のジュブナイルのいいところは、必ずハッピーエンディングを迎えるという点。本書もちゃんとそれが準備されています。2011/11/13
波璃子
21
2013年の復刊フェア作品。未知の惑星への探検・テレパシーといったSFでは王道のモチーフはもちろん面白いし、主人公と双子の兄弟、また宇宙船の仲間との微妙な人間関係や心情がうまく書き出されていると思った。また途中からハインラインの有名なあの作品を読んだ人ならおっと思ってしまう展開になっているので、あの作品を好きな人には薦めていきたい。今年最初のお気に入り作品です。2015/01/09
しろ
13
☆7 復刊フェア。地上と宇宙船とで双子のテレパシーを使い遠大な距離を結ぶ、という設定となによりハインラインなので安心して購読できた。地上への想い、宇宙への想い、なにより人への想い、少年のぶれる想いが面白い。双子の優劣などもあり、人間模様がそもそも魅力的。とはいえなんといっても、宇宙と地上でのウラシマ効果だったり人間の進化する先が描かれているのがいい。そして最後はなぜかロマンチックになるハインラインが好き。2013/11/17
roughfractus02
9
自然に従うトーテミズム的物語は異界を彷徨って帰還する。自然を従わせるシャーマニズム的物語は敵に勝って帰還する。主人公が双子の設定では、前者は自然の2つの面だが、後者は対立する自らの影となる。宇宙を舞台とし相対性理論のウラシマ効果をプロットした本書で、地球に残るパットと宇宙植民へ向かうトムの2つの時間のギャップが作る物語は前者に属する。一方ジュブナイルである本書は後者の英雄の成長の現代版である個人の自立物語を重ねる。帰還したトムとパットのひ孫との結婚に違和感があるとしたら、2つの物語の異質さが際立つからか。2023/11/13