内容説明
脳腫瘍であと半年足らずの命と診断された脚本家リチャードは、旅の途中、サンディエゴのホテル・デル・コロナードでひとりの女性を目にする。女優エリーズ・マッケナ。１８９６年の色あせたポートレイトからほほえみかける彼女に会おうと、彼は時間旅行を試みるが…時を隔てた恋の行方は？映画化され熱狂的な人気を博する傑作ファンタジイ。世界幻想文学大賞受賞作。
著者等紹介
尾之上浩司［オノウエコウジ］
英米文学翻訳家
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SJW
165
映画を先に見てからこちらを読了。原作は長々と冗長な部分が多く、読了するのは大変だった。映画の方だけお薦め。原作ではサンディエゴのホテル・デル・コロナードが舞台だが、映画はミシガン州のマキナックアイランドのグランドホテルが舞台。アメリカにはファンクラブがあり、一年だけ会員になりった。2ヶ月おきに回報が届き、会員の集いなどの記事が載っていて結構おもしろかった。毎年10月にこのホテルで当時の装いで集まるので、行きたくて切符を手配したものの都合が合わずキャンセルとなってしまった。当時の装いも簡単には手に（続く）2018/06/07
chiru
86
大好きなタイムトラベルロマンス。 余命半年の主人公が、ホテルに飾られた写真の女優に心を奪われ、時間の壁を超えて過去へ旅立つ。 トリップの手段が大胆かつ斬新。 女優さんはコケティッシュで可愛く、主人公は一途で純真。 ここまで真っ直ぐな恋愛ものって最近読んでないかもしれない。 そして訪れる、あっけないほど唐突な離別。『突然の別れ』という普遍的な恋の末路に共感するからこそ、この物語に惹きつけられるのかも。 個人的には、小説の冗長さを削ぎ落した映画版がおすすめ。 ★32019/02/18
Panzer Leader
66
相当昔に観た映画の印象が非常に良かったので手にしてみる。余命いくばくもない脚本家がふと立ち寄った由緒あるホテルで見た今はなき女優のポートレートに魅かれて．．．というタイムリープ物のロマンチック・ファンタジー。ひたすら長い主人公の独白に霹靂しながらも二部に入るとドキドキしながら読み進められた。だけれどもこういう作品に素直に感動する清い心は既に持ち合わせていないのが残念。ジャック・フィーニーの「ふりだしに戻る」が好きな人ならば気に入る作品だと思う。2022/05/04
mocha
62
余命わずかな脚本家が、75年前の女優のポートレイトに一目惚れしてタイムスリップ。そう説明してしまうと陳腐だが、モデルとなった女優や舞台となるホテルの写真が不思議な説得力を持つ。（巻末掲載）何より著者自身を投影させた同名の主人公リチャードの苦悩が胸に迫る。前半はただただリチャードの煩悶が続き（少々めんどくさいけど）意志の力で時間を超えることもできそうに思えてきた。にしても、エリーズの人生はそれでよかったの？2022/05/18
ざるこ
48
旅先のホテルで目にしたポートレイトの女性に恋をするリチャード。70年以上前に存在したエリーズに会うため時間旅行を試みる。馬鹿げたことに本気で取り組むのは余命僅かな現実からの逃避なのか。取り憑かれたような必死さが痛いほど。奇跡のような出来事も全てが病気からくる幻では？という疑問がずっと拭えなくて寂しくなる。２人の「愛してる」の応酬には食傷気味になるけど、反面その後の虚しさが計り知れなくて。もう前向きになれる理由が何ひとつないんだから。せつない恋物語。リチャード兄のあとがきが私の気持ちを代弁してくれています。2020/03/14
