内容説明
長病ののち療養の日々を送るアーサー・ローフォードは、教会墓地の外れに自ら命を絶った異邦人の墓を見いだす。その傍らで眠りこんでしまった彼の顔は、なぜか見知らぬ男のものに変化していた。不可解な事態に困惑する周囲や家族との軋礫に懊悩する中、彼は謎めいた兄妹との出会いを契機に、自身に起きた怪異の解明に没入してゆく。オカルティックな綺想に満ちた英国幻想文学の白眉。
著者等紹介
田中西二郎[タナカセイジロウ]
1907年東京生まれ。1930年東京商大卒業。英米文学の翻訳に活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ねね
4
起こった出来事、起承転結ははっきりしてるものの、「だからどうなったんだ」という結末を確信を持って理解できない……幻想小説としては、すばらしい出来なんだろうと思う。そんなもやもやとよく解らない読後感であるにも関わらず、印象的なシーンが幾つもある。アリスの言葉や、グライゼルとの別れのシーン、ミス・シネットのラストシーンなど。結局グライゼルは死者なのかなあ…。現実を生きるとは何なのか、幽霊の存在とは?自己を自己たらしめている物の頼りなさ、そんな色々がイメージ的に去来する本でした2013/11/10
佳
3
お芝居を見ている様な感じ。 あと、 光が、室内だったり空の様子だったり、描写が細かかったのが印象に残った。2014/02/08
Avis
2
なんともいえず幻想的。幽霊よりも生きてる(はず)の人間たちのほうがよほど恐ろしく醜悪。で、一体なんだったの? とはっきりしない、そこがいいんだろうけれど、暗闇のなかに取り残されたような...。2014/01/07
まふゆ
0
翻訳が悪いのか?元々がこういう模糊模糊した文章なのか? 悪いけどお前らが何のことを話しているのか、さっぱりわからんわ。 そや、「ねじの回転」よりわからんわ。2014/08/19
一柳すず子
0
最初は別人の顔になってしまったという分かりやすい怖さだったんだけど段々何が現実で何が幻想なのかわけ分からなくなって来た。怪奇はそもそもあったのか?ベサニイ牧師と娘のアリスがこの混沌とした物語の良心でした。2014/06/28