内容説明
「いいよんさんわん」―近所に住む老人から託されたという謎の探求書リスト。コミック『あさきゆめみし』を購入後失踪した母を捜しに来た女性。配達したばかりの雑誌に挟まれていた盗撮写真…。駅ビルの六階にある書店・成風堂を舞台に、しっかり者の書店員・杏子と、勘の鋭いアルバイト・多絵が、さまざまな謎に取り組んでいく。本邦初の本格書店ミステリ、シリーズ第一弾。
著者等紹介
大崎梢[オオサキコズエ]
東京都生まれ。元書店員。2006年、書店で起こる小さな謎を描いた『配達あかずきん―成風堂書店事件メモ』を発表しデビュー。鋭くもあたたかな筆致が心地よい、期待の新鋭(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
471
『「並べる」という作業がけっこう難題』と、『本』の山と格闘し、届くのを待つ人の元へと大切に『本』を配達してくれる、普段意識することの少ない書店員さんの存在。『本』が扱われる舞台裏を知って、『本』を扱う書店員さんを知る、それは、私たちの中で『だいじな本』となるかもしれない『本』を、それを待つお客さんの元へと心を込めて届けたいと願う書店員さんの熱い想いを見るものでもありました。サクッと切れ味鋭く解決されていくプチミステリーを見る物語。読後には『本』と『本屋さん』に一層の愛着が沸くことになる、そんな作品でした。2021/06/26
射手座の天使あきちゃん
426
痛恨事! なぜ? どうして今まで読まずに・・・ 悔恨・慙愧の念に堪えずです、大反省!! m(_ _)m 舞台は駅の本屋さん、書店員の若い女性二人が「日常の謎」を解く、なぁんて言われたら「本読み」として放っておけませんよねぇ(笑) 伏線も妙に複雑にせず、謎解きの視点がかなり鋭くて、かつ、ほのかな恋も絡んだり・・・と言うこと無し!!、風味絶佳、美味礼讃(こんな四字熟語あったっけ?) <(^_^;2010/12/31
kishikan
380
駅に隣接したビル(つまり駅ビルか?)の6階にある本屋「成風堂」。この本屋に勤務する店員木下、またアルバイトの女子学生西巻。書店を舞台に、そして本がキーとなる事件・謎をこの女性達が次々と解決するというミステリー短編集。本屋が舞台となっているだけに、ミステリーファンの読書人には親近感を抱きやすいにくい舞台設定だ。シリーズものでもあり、すでにこの他2冊出版されているらしい。結局それも読んでしまうのだろうなぁ。2009/09/30
hiro
371
初大崎梢さん作品。古書店が舞台の‘日常の謎’ミステリは、『ビブリア古書堂』と『東京バンドワゴン』シリーズが有名だが、この本は新書店が舞台の日常の謎5編の連作短編集。‘日常の謎’ミステリは、お仕事小説としても読めるものが多いが、この本も大崎さんの書店員としての経歴が活きていて、新書店のお仕事小説としても十分面白かった。また、殺人がない日常の謎といっても、結構危ない場面があり少しハラハラもし、最後はほっこりする内容のものもあり、短編それぞれバライティに富んでいて面白かった。またこのシリーズを読んでみようと思う2013/02/02
徒花
361
書店で起こる日常の謎をテーマにした短編ミステリ集。どこかで読んだことがあるような非常に安定感のある、読みなれた文体に感じたのはなぜか……。人物同士の、ちょっと現実離れした、わざとらしさすら感じるかけあいも、なぜか既視感がある。もうちょっと実物の書籍が事件の全容を紐解くキーになる物語が多ければ、もっと興味が引かれたかもしれない。表題作は、収録作品の中でいちばんつまらなく感じたので、なぜこの作品をタイトルに持ってきたのかわからない。2017/11/01