内容説明
本への愛を貫く私設図書館長、退職後大学講師に転じた科警研の名主任、長年のライバルを葬った女優、良い酒を造り続けるために水火を踏む酒造会社社長―冒頭で犯人側の視点から犯行の首尾を語り、その後捜査担当の福家警部補がいかにして事件の真相を手繰り寄せていくかを描く倒叙形式の本格ミステリ。刑事コロンボ、古畑任三郎の手法で畳みかける、四編収録のシリーズ第一集。
著者等紹介
大倉崇裕[オオクラタカヒロ]
1968年11月6日、京都府生まれ。学習院大学法学部卒業。97年「三人目の幽霊」が第4回創元推理短編賞佳作に。98年「ツール&ストール」で、第20回小説推理新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
211
女性「古畑任三郎」参上!とにかくテンポが良い(^v^)!「テンポ」というキーワード、実は自分の中では非常に大事な要素です。決して遅いのがダメというわけではありません。なかには「じっくり&ゆっくり」が醍醐味の作品もありますからね(^_-)。さて、内容はわりとシンプルな構成で展開されていき、最初に犯人がわかるので、ある意味安心して読み進めていけます。謎解きの場面は、大きな衝撃は受けませんが、その淡々とした感じがまたいい感じです。こういう作品こそ映像化アリだと思います。福家警部補のキャラ、「ナイス」です!2013/09/01
🐾Yoko Omoto🐾
142
刑事コロンボを敬愛する大倉氏が、ストレートに本歌取りした倒叙ミステリー。童顔でチビ、縁なしの眼鏡、およそ刑事には見えないという外見の福家警部補。最初は、彼女の淡々としたポーカーフェイスな部分とコロンボばりのしつこさに、いい印象を持てなかったが、各話での映画監督、酒屋の主人、ホームレスなど事件の脇役に投げかける一言が何とも温かく、彼女の魅力を伺い知ることができる。また、このシリーズは「何かを守りたい為の殺人」という内容で描かれている話が多く、特に「月の雫」は何とも切ない気持ちになった。正統派ミステリー。2013/09/17
あっちゃん
137
まんま刑事コロンボ(笑)私大ファンなんだよね!そして毎回思うけど、犯人達がちょっと可哀想!もう言わないであげてーって叫びそうになるわ( ̄▽ ̄)2022/12/01
Hitoshi Mita
117
倒叙物ミステリーの本作。刑事コロンボなどで犯人が最初から分かってる設定。そこをどう解決していくかが見どころ。福家警部補の突っ込みや細かいところへの疑問が犯人を追い詰めていく。そして福家警部補のキャラクターの面白さが話に厚みを加えている。2014/04/28
セウテス
113
福家警部補シリーズ第1弾。DVDに文庫本と完全制覇してる位、大好きな倒叙ミステリ刑事コロンボ、作者も意識したという4作の倒叙短編集。背が小さくメガネをかけた童顔の女性が、警部補というキャラ設定に戸惑いを感じるが、犯人を追い詰めるという倒叙ミステリの醍醐味は充分味わえる。犯人側の何かを守る為という犯行動機の位置付けも、女性警部補だからこそで良い。この犯人のミスやミスではないが、仕方がなく残ってしまった明確な証拠を、推理するのは愉しくてならない。本格と比べると、ただ一点に気が付くかどうか思わず没頭してしまう。2018/10/22