内容説明
迷子になった五歳の孤児・飛鳥は親切な青年に救われる。二年後、引き取られた家での虐めに耐えかね逃げ出した飛鳥に手を伸べ、手元に引き取ったのも、かの青年・滝杷祐也だった。飛鳥の頑なな心は、祐也や周囲の人々との交流を経て徐々に変化してゆくが…。ある毒殺事件を巡り交錯する人々の思いと、孤独な少女と青年の心の葛藤を、雪の結晶の如き繊細な筆致で描く著者の代表作。
著者等紹介
佐々木丸美[ササキマルミ]
1949年北海道生まれ。75年『雪の断章』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
654
ミステリの要素が必要だったかどうかは疑問だが面白かった。特に驚きの展開は無いのに、透き通るような文章に惹かれてスルスルと読み進めてしまう。たしかに『小公子セーラ』や『キャンディキャンディ』を連想させるものがあるが、札幌出身の私にとっては、昭和な札幌描写がまたササる。ストーリーはベタベタなアニメ的展開で、表現と人物の魅力で引っ張る、ある意味で作家の力量のみで勝負したような一作といえ、概ね成功している。青崎有吾のオススメである事で本格ミステリ風の驚きが待っているのでは?と期待させる事が最大のトリック。2017/04/13
青葉麒麟
271
自分の体調不良の時に読んでいたせいか中々読むのがしんどかった( TДT)主人公・飛鳥の性格がどうも受け付けなくて・・・。作中の童話を一回読んでみたい。2013/01/30
相田うえお
190
★★★☆☆17012 出だしは世界名作劇場の小公女セーラにキャンディキャンディを足したような感じで早くも心鷲づかみ!と読み進んでいったら、な、なんと!殺人事件だって?えっ、この出だしでそういう方向に行っちゃうんですか?と思いきや暫くは事件の話題無し!この話はいったい何処に向かってるの?予測困難。とか言ってるうちに急に犯人ばらしかい!デビュー作、荒い所あるけど面白かったですよー。しかし、先生まだ56歳だったのに残念です。作内会話で「蛍、ダンプに一台もって来てやる」は本当に蛍の光で読書が出来そうで省エネだね。2017/02/10
うっちー
182
佐々木女史は初読みです。難解でしたが、後半は一気よみ。40年前というのもうなずけます2015/01/13
nobby
166
きっかけはビブリアから。耐え難い生活から逃げ出した六歳の孤児が、ずっと信じた青年との運命の再会を経て幸せをつかむまでを描く成長物語。全編に雪をイメージして描かれる文章は美しい。その清らかさの一方で、とにかく胸苦しくもある。育てられた恩のため「あなたがすきです」を伝えられない切なさよりも、その境遇から社会など全てに卑屈になる心情にどっと疲れる。まさかの毒殺なんて事態さえミステリとしてでなく、頑なに守護する様を助長する徹底ぶり!揺れる想いの行く末を見守るよりも、彼女を「チビ」と呼ぶ好男子に不憫さ感じるばかり…2018/11/30