内容説明
地蔵坊先生お気に入りのカクテル『さすらい人の夢』の二杯目が空く頃、物語は始まる。土曜の定例会で山伏の先生が聞かせてくれる体験談ときたら、ローカル線の犯人消失、崖に住む新興宗教家の死、トリュフに端を発する真夏日の事件、雪と共に降って湧いた博士邸の怪など、揃いも揃って殺人譚。ことごとく真相を看破したという地蔵坊が、名探偵行脚さながらの見聞を語る七話を収録。
著者等紹介
有栖川有栖[アリスガワアリス]
1959年4月26日、大阪市生まれ。82年同志社大学法学部卒業。89年1月「月光ゲーム」でデビュー。本格ミステリ作家クラブ初代会長
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
118
楽しさに徹した一冊。毎週土曜の夜、頭のてっぺんからつま先まで山伏ルックに身を固めた山伏地蔵坊先生の華麗なる登場で幕を開ける怪しい事件の怪しい語りの集い。何回も表紙の山伏姿でオレンジ色のカクテルを呑む姿を想像させられては共に語りを聴く気分。しかし、地蔵坊先生の殺人事件に遭遇する率の高いこと。そしてスルッと全てを紐解くなんて。真相、トリック、メンバーの興味を掻き立ててやまない話術といい、とにかく楽しさに徹したミステリという印象。週末、土曜の夜だからこそ、嘘かまことか…煙に巻かれたような宵に酔う楽しさが似合う。2025/02/15
えにくす
96
ブオォ〜ン!法螺貝を吹きながら、山伏探偵がやって来たよ。その名は地蔵坊。全国を放浪しながら遭遇した色々な難事件を解決する、異色の名探偵だ。彼はスナックに週一で現れて事件の話を披露し、常連客は真相を当てようと躍起になる。しかし次第に客たちは、これは作り話じゃないかと疑うようになる。放浪の山伏探偵という設定が、ツボにハマる。チンピラを叩きのめしたり、猪を仕込刀で倒すなど戦闘能力が高い。得意技はタダ飯タダ酒を食らう事。さあ読者も地元のスナックを、覗いて見よう。山伏探偵が事件の謎解きを、している知れないよ。★42025/02/04
ダイ@2019.11.2~一時休止
75
短編集。山伏の体験談か法螺をふいているのか?。雰囲気がゆるくてイイ感じ。2013/10/25
セウテス
74
貴女と夜と音楽と。酒を嗜む事を目的とした場所という物は、そのままミステリーが似合います。仲間と酒とミステリーと、そんな安楽椅子型の作品は、結構在る様で大好きです。本作は、基本的な傾向は古典からの形を引き継ぎながらも、山伏が名探偵という驚きの作品です。実は私ミステリーの中では、このタイプの作品を読む時は、雰囲気を楽しんで推理はあまりしないのです。一緒に酒を飲んで話を聴いている、その状態に浸っています。思わず有栖川氏の作品だという事を、忘れてしまう流れを味わって下さい。解説の安楽椅子探偵概念も、一読ものです。2016/02/20
涼
73
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/01/post-129ef7.html 「えいぷりる」に集まる常連が、必ずしも地蔵坊の話を信じているわけではなく、しかし酒の肴としてその日の飲み代を持つという設定はどうかなぁという気もします。2023/02/02
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- 武田信玄・城と兵法