出版社内容情報
内容説明
ロンドンはテムズ川沿いの高級住宅地で、金融業界のやり手がクロスボウの矢を喉に突き立てられて殺された。理想的な住環境を騒音やプール建設計画などで乱してきた新参者の被害者に、容疑者の住民たちは我慢を重ねてきていた。誰もが同じ動機を持つ難事件を前に、警察は探偵ホーソーンを招聘する―。あらゆる期待を超えつづける“ホーソーン&ホロヴィッツ”シリーズ第5弾!
著者等紹介
ホロヴィッツ,アンソニー[ホロヴィッツ,アンソニー] [Horowitz,Anthony]
イギリスを代表する作家。アガサ・クリスティへのオマージュ作『カササギ殺人事件』では『このミステリーがすごい!』『本屋大賞“翻訳小説部門”』の1位に選ばれるなど、史上初の7冠を達成
山田蘭[ヤマダラン]
英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
465
これまでと趣向を変えてホーソーンの過去の事件。ホロヴィッツの一人称である現代パートと、三人称の過去パートが交互に描かれ、まったくネットで調べようとしないホロヴィッツはさすがに不自然。ただ、それ以外は見どころがたくさんあり、シリーズの中で異色作かもしれないが、それなりに存在感を放つのではないだろうか。最近、海外ミステリでも密室を扱った作品が多く紹介されるようになってきており、今作もそう。仕掛け自体は陳腐たけれど、手がかりの出し方などは秀逸で、欧米圏での現実的な物の見方が反映されていて興味深い。2024/09/17
パトラッシュ
287
シリーズも第5弾まで来たが、相変わらず巧みな語りと構成で読ませる。今回はホロヴィッツの知らぬ5年前の事件をホーソーンの出した資料を基に描く三人称スタイルで、この謎めいた探偵の過去が明らかにしながら物語が進む趣向だ。目立たぬように手がかりを埋め込む作者の手腕はわかっているはずが、ホロヴィッツの取材を描く現在パートと過去パートの微妙な差異を感じながら把握できずギャフンと言わされてしまう。ミステリを読む快感を充分与えてくれる逸品だが、このネット時代にホロヴィッツが事前に情報を全く検索しないのには違和感が残った。2024/11/05
旅するランナー
212
シリーズ5作目での変化球。5年前にホーソーンが調査した事件を資料などをもとに執筆するホロヴィッツ。閉鎖された住宅地で起こる殺人、密室での死は自殺か他殺か?、一癖も二癖もある住人たち、二転三転する結論、今作も推理小説としての面白さがてんこ盛りです。最高の密室ミステリとして、島田荘司「斜め屋敷の犯罪」、横溝正史「本陣殺人事件」が挙げられているのも嬉しいところです。2024/12/16
タツ フカガワ
195
ロンドン郊外のテムズ川を臨む6軒の家を囲むように造られた高級住宅地で、ここに住む金融業者の男がクロスボウの矢を喉に射られて殺される。しかも5軒の隣人たちにはそれぞれ殺害動機があった。シリーズ5作目となる本作はホロヴィッツがホーソーンと知り合う前の、本作執筆より5年前に起きた事件で、すでに決着はついていたのだが……。著者自身が言うように「実に入り組んだ小説」で、密室トリックやアリバイ崩しなど英国本格ミステリーの味わいもたっぷり。とくに終盤の「第八部 真相」と「第九部 終局」は読みごたえがありました。 2024/10/31
KAZOO
157
このシリーズの第5作目で、ホロヴィッツが数年前のホーソーン独自の事件を書籍化します。昔ながらの推理小説で、クリスティやクイーンを思い出します。今回は住まいの周りの住人から嫌がられていた金融業界の人物が殺されます。犯人は非常に頭がよく周到にやり遂げるさまを描いています。第6部の「密室の謎」では一種の理論のような感じで、ディクスン・カーや日本の島田、横溝などにも触れられています。2024/10/03
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