内容説明
近代性そのものとも言うべき「探偵小説」は、どこに起源を持ち、どのような紆余曲折を経て、ジャンルとしての結晶を見るに至ったのか?古代に始まる膨大な文献を博捜し、通常の推理小説論では見られないような人名をも援用しつつ描かれる、その成り立ちの歴史。江戸川乱歩が熱いまなざしをそそぎ、ヴァルター・ベンヤミンが激しい関心を向けその『パサージュ論』で引用を繰り返した伝説的大著。
目次
序論
第1部 フィラーサの秘法
第2部 幽霊と盗賊
第3部 観相学的な旅
第4部 モルグ街の謎
第5部 現代の千夜一夜物語
第6部 シャーロック・ホームズとニック・カーター
結論
著者等紹介
メサック,レジス[メサック,レジス] [Messac,R´egis]
1893年、フランス大西洋岸のシャラント=マリティーム県に生まれる。1914年、第一次世界大戦に従軍、頭部に重傷を負う。1922年、高等教育教授資格を取得、アイルランド、カナダの大学で教鞭を執る。1929年帰国、『「探偵小説」および科学的思考の影響』で博士号を取得するも、フランス国内の大学ではポストを得られなかった。モンペリエ、次いでクータンスの高校にてラテン語とフランス語を教える傍ら、自伝小説、SF小説、新聞小説、政治パンフレット、評論、書評等々、多分野にわたって旺盛に執筆。著作の大半が生前には未発表ないし未刊行で、刊行作品もほとんど注目されなかった。第二次世界大戦でフランスがドイツに占領されると、レジスタンス運動に参加。1943年、ゲシュタポに検挙され、「夜と霧」囚人としてドイツに移送される。複数の強制収容所を経たのち、1945年1月、消息を絶つ。戦後、1970年代に『半球の弔旗』をはじめとするSF作品が再刊ないし初刊行され、このジャンルの先駆者の一人として再評価されたものの、依然として「知る人ぞ知る」存在であり続けている
石橋正孝[イシバシマサタカ]
1974年神奈川県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学、パリ第八大学大学院博士課程修了。博士(文学)。現在、立教大学観光学部准教授。専門、19世紀フランス文学(ジュール・ヴェルヌ)
池田潤[イケダジュン]
1984年大阪府生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学、パリ第四大学大学院博士課程修了。博士(文学)。現在、白百合女子大学言語・文学研究センター客員所員。専門、フランス文学、とくにマルセル・プルースト
佐々木匠[ササキタクミ]
1983年北海道生まれ。パリ・ディドロ(パリ第七)大学大学院博士課程修了。博士(テクストとイメージの歴史と記号学)。現在、早稲田大学文学部専任講師。専門、20世紀フランス文学
白鳥光[シラトリヒカリ]
1991年東京都生まれ。立教大学大学院文学研究科博士前期課程修了。在学中、パリ東大学に2年間留学。修士(フランス文学)。現在、フランスの出版社の国内代理店に勤務する傍ら、フランス語翻訳者として主に法定翻訳に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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