出版社内容情報
砦に滞在していたローマ派の修道士が殺され、第一発見者のフィデルマは容疑者として拘束されてしまう。頼れるのはエイダルフと自らの機知のみ。この窮地を如何に脱するのか?
内容説明
若者たちを殺したのはグレン・ゲイシュの民なのか。疑惑を胸に、族長と評議会との折衝に臨むフィデルマ。だが折衝は難航し、共に族長の城砦に滞在していたローマ派の修道士が殺された。容疑者はフィデルマ。死体を調べようとかがみ込んだところを兵士に見つかり、犯人と思われ拘束されてしまったのだ。頼れるのはエイダルフと自らの知力のみ。この窮地を如何にして脱するのか?
著者等紹介
甲斐萬里江[カイマリエ]
早稲田大学大学院博士課程修了。英米演劇、アイルランド文学専攻。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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南北
54
今回は意外な結末で終わるが、フィデルマの兄が国王を務めるモアン王国が決して安泰ではなく、まだまだ争いを起こしたい人がいることがわかった。また、これまではキリスト教の布教が正しいという観点から物語が描かれていたが、今回は必ずしもキリスト教だけが正しいわけではなく、古くからのアイルランドの考え方にも耳を傾けるべき部分があるという描き方が興味深かった。2021/08/01
Nat
46
今回はフィデルマが窮地に追い込まれる展開。でも、エイダルフが上巻と違って面目躍如して少し活躍できた。最後まで犯人がわからなかったが、物語に引き込まれた。前から思っていたが、キリスト教が善でそれまでの信仰は悪という考え方に疑問を感じさせる内容だった。2022/02/16
ぽんすけ
27
面白かった。いつもは厳しく犯人を追い詰めるフィデルマが、なんと殺人事件の容疑者になってしまうなんて。ジメジメした牢獄に入れられて不安と恐怖を感じる様は、あぁフィデルマも心細く思ったりするんだな。と人間的でなんだかホッとした。そしてここで俺たちのエイダルフですよ。上巻で、葡萄酒を呑み過ぎて二日酔いになってるただの役立たず状態だったのが、囚われのフィデルマの為に当にブレホンのように堂々とラズラやムルガルと渡り合うところは、今までで一番格好良かったと思う。犯人は意外な人物で私はまんまと騙されてしまった。2023/01/03
星落秋風五丈原
20
ますます自虐にハマるエイダルフに「上巻の失態をまだ引きずっている場合じゃあありませんよ!」と背中をどつきたくなる大事件が起こる。ミステリファンにとっては「やっとか!」と言いたくなるペース。猫をも殺す好奇心が原因で、フィデルマが何と殺人犯の容疑者に。そして、あれほどお兄ちゃんから「気をつけよ、いつ、誰に語るかを」と言われていたにもかかわらず“ある人を見た”と、とある人に告げたばかりに周囲を敵に回す。四面楚歌の中で奔走するのがエイダルフ様で、はったり聞かすわ、にわか仕込みの知識を駆使して弁舌を振うわの大活躍。2014/03/03
Masa
19
読了。こんにちは、エイダルフです。このシリーズを読んでいるときに限ってぼくはエイダルフになります。常に彼の視点から物語となによりフィデルマを見つめます。L・O・V・E・フィデルマ! いやぁ、本作はドッキドキでした。今まで幾度も困難を乗り越えてきたフィデルマですが、今回はさすがにだめではないかと思ってしまった。しかし愛しのフィデルマはぼく(エイダルフ)と協力して事件を解決していくのです。やはり短編ではなく長編で読むのがいいですね、本シリーズは。次こそフィデルマとの関係をもう少し進めたい。(エイダルフ)2018/07/31