創元推理文庫 スリー・カード・マーダー

ブラックハースト，Ｊ．Ｌ【著】/三角 和代【訳】

東京創元社（2024/03発売）

• サイズ 文庫判／ページ数 416p／高さ 15cm
• 商品コード 9784488217068
• NDC分類 933
• Cコード C0197

出版社内容情報

警官の姉と詐欺師の妹が、
密室殺人に挑む！
連続する不可能犯罪は、
予想もしない展開を見せて――
期待の新シリーズ開幕！

被害者は、空から降ってきた。落下したと思われたフラットの五階の部屋は無人で、玄関ドアは内側から釘と板で封じられていた。この不可解な密室殺人を捜査するのは、サセックス警察重大犯罪班のテス・フォックス警部補。しかし彼女は、現場の壁にダーツで止められていたチラシを見て愕然とする。それはかつて、妹を救うために自分が犯した殺人を示唆していた。いまは詐欺師として生きる妹のために……。密室殺人×警察小説の新シリーズ開幕！

内容説明

被害者は、２月５日、火曜日の午後４時５分に空から降ってきた。喉には無残な切り傷。落下したと思われたフラット５階の男の部屋は無人のうえ、玄関ドアは内側から釘と板で封じられていた。この不可解な密室殺人に臨むのは、サセックス警察のテス・フォックス警部補と、その異母妹の凄腕詐欺師。正反対の姉妹が、思わぬ展開を見せる不可能犯罪に挑む、期待の新シリーズ開幕！

著者等紹介

ブラックハースト，Ｊ．Ｌ．［ブラックハースト，Ｊ．Ｌ．］ ［Ｂｌａｃｋｈｕｒｓｔ，Ｊ．Ｌ．］
イギリス中西部のシュロップシャー生まれ。大学院で修士号を取得したのち、衣料品店にマネージャーとして勤務していたが、解雇されたのをきっかけに小説執筆を開始。ジェニー・ブラックハースト名義のＨｏｗ　Ｉ　Ｌｏｓｔ　Ｙｏｕでデビュー。同書はイギリス国内におけるＫｉｎｄｌｅのナンバーワン・ベストセラーになるほどの人気を博した。同名義で以降７冊の心理サスペンス作品を発表している

三角和代［ミスミカズヨ］
西南学院大学文学部外国語学科卒。英米文学翻訳家（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[W-G]

刑事の姉＆詐欺師の妹という超個性派コンビと密室殺人を組み合わせ、旨味素材をふんだんに用いて調理しておきながら、なぜにこれほど本格ミステリの風味が薄く出来上がってしまったのか不思議でしょうがない作品。続編ありきで曖昧なままにしている部分も多く、消化不良感も強い。主人公姉妹の背景設定が、不可能犯罪のガジェット群と見事に良さを打ち消しあっており、二人の会話ばかりが多く、こっそり犯行現場を見に行くくらいでまともな捜査をしていない。犯人の見せ方も上手くなく、本当ならもっと意外性を演出出来たはず。色々もったいない。

2024/04/21

[yukaring]

警部補の姉と詐欺師の妹が挑む三つの密室殺人。このキャラが全く正反対の2人が得意分野を活かして謎を解いていくのが面白い。ある日空から降ってきた男の喉には無惨な切傷。彼の落下した部屋には鍵がかかっていた上、ドアは釘と板で内側から封じられていた。警部補のテスは昇進のチャンスと現場に出向くが待っていたのは不可能犯罪とそしてテスと妹のセアラにだけわかる謎のメッセージ。2人には実は決して人に明かせない秘密の過去があった…。犯人の意図を探るため謎解きに奔走する2人と次々起こる殺人。テンポよがよく読みやすいミステリ。

2024/05/10

[タツ フカガワ]

サセックス警察の重大犯罪班の警部補テスには絶対に明かせない秘密がある。ひとつは父フランクが詐欺グループのリーダーであること。もうひとつが15年前に異母妹セアラを救うため殺人を犯していたことだ。そこに空から男が降ってきたという通報が入る。殺されていた男は、かつてセアラを拐かした３人のうちのひとりだった。この後判明した密室殺人の謎にテスと詐欺師のセアラが挑む、という設定が面白そうなので読み始めましたがハズレました。謎解きに無理があるし、一気呵成に行きたい終盤が渋滞と、ストレスの溜まる読書となりました。

2025/04/28

[geshi]

ミステリとしては期待外れなヤングアダルト向けみたいな小説。刑事の姉と詐欺師の妹が協力して密室殺人の謎に挑むという惹句は嘘ではないけれど、話の本筋は家族の物語や過去の罪にあって、捜査や検証の場面が少なく謎解きはライト。トリックもネタとしては悪くはないと思うけど、カーの名前と密室講義を出すには小粒だし、現代の科学捜査が入ったらさすがに成立しない代物。犯人は話の流れ的にそういう属性にするしかないんだろうなとは思うけど、伏線も無しにいきなり出してきて、結末も消化不良ではいち作品として褒められない。

2024/05/30

[stobe1904]

【不可能犯罪に挑む姉妹のミステリ】警察官で実直な姉と犯罪者一家の家業を継ぐ詐欺師の妹の対極的な二人が密室殺人事件に巻き込まれるが…。３つの不可能犯罪は意欲的な建付けだと思うが、トリック解明が凡庸で新規性は感じなかった。また警官と詐欺師姉妹の組み合わせも家族の絆とはいえ無理が多く、必然性に乏しい。次作ありきの構成のためかすっきりクローズしないところも残念。★★☆☆☆

2024/05/12