感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
がたやぴん
46
あぁ、やっぱりそうなんだと言った感じだ。それでも、Xから始まったこのシリーズのなかで一番好きな作品。推理に至る情報は4作を通じてフェアに提示されており、今回も犯人に到達できた。これまで鮎川さんの訳が古く馴染めないとか、字が小さく読み進めるのが大変だと思っていたのだが読み終えると、1行1行を丁寧に読み込めたからこそ楽しめたのではないかと感じる。もしライトノベル風な翻訳であったならば、流し読みしてしまい感想が変わっていただろう。XやYが名作と言われますが、4作品を順に全て読んでこその作品です。2014/11/09
kagetrasama-aoi(葵・橘)
31
エラリー・クイーン作品、登録十九作目。ドルリー・レーン四部作の第四作目。ドルリー・レーンものは、四作品で一つの物語と言って良いと思います。四つ各々に趣向は凝らしてありますが。クイーンは(二人共に)書誌募集家と知られていましたが、その面目躍如たる事件でした。やはり英語圏の人にとっては“シェイクスピア”は特別なんでしょう!ひしひしと愛を感じました。最後の推理は流石クイーン!時代は感じますが、やはり四部作、傑作だと思います。2020/01/16
背番号10@せばてん。
25
1974年読了。ドルリー・レーン4部作の最終章。あらすじはもちろん忘却の彼方。1974/05/29
LUNE MER
21
「XYZ、全てが伏線」という感じでしょうか。悲劇三部作はいずれも完成度が高く、決して伏線とするためだけに生み出された作品ではないと思うのだが、予め本作のラストがあった上でのこれらの作品だったに違いないとしか思えない。XとYは何度も再読しているが、本作は20年ぶりくらいの再読でようやく2度目。事件のキーが次々と明らかになるにつれて推理の行方があそこに収斂していく過程は、結末を知っているからこそ余計に緊張感が増す。2023/04/09
豚山田
21
結末を目の当たりにして寒気が止まりません。こんな経験は初めてです。よく目にするのはXとYが最高傑作とかいう評価ですが、とんでもない。むしろXYZは序章としか思えなくなりました。主人公の特性、Yの衝撃的な結末とその後の変化、Zからのパットの役割……それまで無秩序に撒かれていたものが、最後の数行で音を立てて吸い寄せられて来るのが分かりました。これだけの事が明確であっても、詳細は読み手の想像に任せる、といった粋な文章にも痺れます。本格に余り価値を見出していない自分でしたが、今回ばかりは参りました。これはハマる!2014/02/13