感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tonnura007
47
サムは突然現れた謎の髭男から万が一に備えてと言われ封筒を預かる。自分から連絡がない場合にはレーンの立会いの下で封を開けるように言われる。一方ブリタニック博物館では貴重なシェークスピアの稀覯書が盗難され、警備員一人が行方不明に。 本書は3度目。本書は謎の男、盗難や失踪といったちぐはぐな事件が沢山起こり、読者の好奇心を掻き立てる。Z同様に主人公はパットだがXやYのように視点は俯瞰的なものである。事件が続発し謎が謎を呼ぶため飽きずに一気読みできる。途中の謎解きはもう少しほしいが、4部作の最終作として結末はよい。2024/08/13
がたやぴん
47
あぁ、やっぱりそうなんだと言った感じだ。それでも、Xから始まったこのシリーズのなかで一番好きな作品。推理に至る情報は4作を通じてフェアに提示されており、今回も犯人に到達できた。これまで鮎川さんの訳が古く馴染めないとか、字が小さく読み進めるのが大変だと思っていたのだが読み終えると、1行1行を丁寧に読み込めたからこそ楽しめたのではないかと感じる。もしライトノベル風な翻訳であったならば、流し読みしてしまい感想が変わっていただろう。XやYが名作と言われますが、4作品を順に全て読んでこその作品です。2014/11/09
kagetrasama-aoi(葵・橘)
32
エラリー・クイーン作品、登録十九作目。ドルリー・レーン四部作の第四作目。ドルリー・レーンものは、四作品で一つの物語と言って良いと思います。四つ各々に趣向は凝らしてありますが。クイーンは(二人共に)書誌募集家と知られていましたが、その面目躍如たる事件でした。やはり英語圏の人にとっては“シェイクスピア”は特別なんでしょう!ひしひしと愛を感じました。最後の推理は流石クイーン!時代は感じますが、やはり四部作、傑作だと思います。2020/01/16
背番号10@せばてん。
26
1974年読了。ドルリー・レーン4部作の最終章。あらすじはもちろん忘却の彼方。1974/05/29
LUNE MER
22
「XYZ、全てが伏線」という感じでしょうか。悲劇三部作はいずれも完成度が高く、決して伏線とするためだけに生み出された作品ではないと思うのだが、予め本作のラストがあった上でのこれらの作品だったに違いないとしか思えない。XとYは何度も再読しているが、本作は20年ぶりくらいの再読でようやく2度目。事件のキーが次々と明らかになるにつれて推理の行方があそこに収斂していく過程は、結末を知っているからこそ余計に緊張感が増す。2023/04/09