定価のない本

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  • サイズ B6判/ページ数 320p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784488028039
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

終戦から復興を遂げつつある古書の街・神田神保町の一隅で、ひとりの古書店主が人知れずこの世を去った。古書の山に圧し潰される皮肉な最期を遂げた商売敵を悼み、同じく古書店を営む琴岡庄治は後処理を申し出るが、彼の周囲では次第に奇妙な出来事が起こり始める。行方を眩ませる被害者の妻、注文帳に残された謎の名前、暗躍するGHQ――名もなき古書店主の死を巡る探偵行は、やがて戦後最大級の“計画”を炙りだす。直木賞受賞作家の真骨頂と言うべきミステリ長編。

内容説明

神田神保町―江戸時代より旗本の屋敷地としてその歴史は始まり、明治期は多くの学校がひしめく文化的な学生街に、そして大正十二年の関東大震災を契機に古書の街として発展してきたこの地は、終戦から一年が経ち復興を遂げつつあった。活気をとり戻した街の一隅で、ある日ひとりの古書店主が人知れずこの世を去る。男は崩落した古書の山に圧し潰されており、あたかも商売道具に殺されたかのような皮肉な最期を迎えた。古くから付き合いがあった男を悼み、同じく古書店主である琴岡庄治は事後処理を引き受けるが、間もなく事故現場では不可解な点が見付かる。行方を眩ました被害者の妻、注文帳に残された謎の名前―さらには彼の周囲でも奇怪な事件が起こるなか、古書店主の死をめぐる探偵行は、やがて戦後日本の闇に潜む陰謀を炙りだしていく。直木賞作家の真骨頂と言うべき長編ミステリ。

著者等紹介

門井慶喜[カドイヨシノブ]
1971年群馬県生まれ。同志社大学卒。2003年「キッドナッパーズ」で第42回オール讀物推理小説新人賞を受賞、06年に最初の著書となる『天才たちの値段』を刊行する。16年『マジカル・ヒストリー・ツアー ミステリと美術で読む近代』が第69回日本推理作家協会賞(評論その他の部門)を、18年『銀河鉄道の父』が第158回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

鉄之助

361
『銀河鉄道の父』『家康、江戸を建てる』の門井慶喜の新作だけに期待しすぎ、たかな? 神保町の書店主が、本に埋もれて圧死するミステリー仕立てで始まったが、謎解きにひねりがなく、ちょっとガッカリ。それでも、「古典は『のこる』ものじゃない。誰かが『のこす』ものなんだ」は心に響いた。明治維新や戦後の混乱期、大量の日本美術が海外に流出した歴史を紐解き、アメリカへ持ち出されようとした古典籍を守った書店主たちの意気に感動した。2021/02/26

旅するランナー

195
古書店主が本に殺される。終戦から一年、神田神保町の古書店主が崩落した古書の山に押し潰されて死んだのだ。同業者の琴岡が、その死の謎を探っていく。GHQ、徳富蘇峰、太宰治まで関わって、思わぬ方向に展開していく。正直、ミステリーはどうでもよくなっていきます。それより、古本屋の人たちが、日本の歴史を守り抜く姿に心動かされます。日本人が本を愛し、古典を愛することで、この国そのものを立ち直らせる心意気を目撃しましょう。本当に眼福です。さあ、文化の爆弾を落としてやれ!2019/10/09

紅はこべ

167
古書と古典籍の違いを知る。学校を出ていなくても、古典を読みこなせる庄治と、一応大卒でも、現代語すら読めない現総理副総理の差よ。津島修治くんの出演は作者の軽いお遊びですな。それにしてもこの設定どこまでフィクションなんだか。2020/02/22

のぶ

135
タイトルの「定価のない本」って何だろうと思ったら古本の事だった。冒頭に芳松という男が本の下敷きで死んでしまうという事件が起こる。同じく古書店主である琴岡庄治は事後処理を引き受けるが・・。一見ミステリー仕立てに見えるが、本書はミステリーの要素は薄く、著者が描きたかったのは本のディープな世界だったと思う。時代は戦争末期から戦後直後。GHQの統制下で日本の書物はどんな歴史を歩み、どんな扱いを受けて来たか。古典から近代の著作まで多くの本が登場し、門井さんの書物に対する愛情が滲み出た作品だった。2019/10/16

パトラッシュ

125
小説としては面白いが「日本の古典を買い占めることで日本の歴史を奪う米軍の陰謀」という設定が荒唐無稽に過ぎる。『昭和史発掘』を読めばGHQの占領政策や東西スパイ戦の厳しさは一目瞭然であり、そのそも占領軍高官が一介の古本屋に自分たちの秘密計画を明かすなどあり得ない。また『ナチ本の略奪』に描かれるユダヤ人の蔵書を没収するナチスの蛮行に比べ、日本の古典を高い金を出して買う場面などは米軍への甘えすら見てとれる。徳富蘇峰や太宰治の登場も深い意味はなく、この作者は小説を書くのはうまいがミステリーを書く才能はないようだ。2019/11/28

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