出版社内容情報
浅草川に浮かぶ島、日本橋は箱崎。汐と水が入りまじり、色々なモノが流れ集まり三つに分かれるところ。この川辺にある若狭屋には、ちょっとさみしい魂がふらりとやって来る。狐憑きと呼ばれる花魁や川に消えた子供、息子を捜す山姥……。あの世とこの世をつなぐ不思議な船宿で女将が出会う、八つの愛おしいあやかし話。
「狐憑き」
「おっかなの晩」
「海へ」
「夏の夜咄」
「鰐口とどんぐり」
「嫉妬」
「江戸の夢」
「三途の川」
内容説明
狐憑きと噂される花魁、川に消えた子供、息子を探す山姥…。浅草川に浮かぶ島、日本橋は箱崎。汐と水が入りまじり、色々なモノが流れ集まり川が三つに分かれるところ。この川辺にある若狭屋には、ちょっとさみしい魂がふらりとやって来る。にんげんもあやかしも隔てなく―。ここはこの世とあの世をつなぐ不思議な船宿。女将が出合う、八つの愛おしいあやかし話。
著者等紹介
折口真喜子[オリグチマキコ]
鹿児島県生まれ。2009年、「梅と鴬」で第三回小説宝石新人賞を受賞。2012年、受賞作を収めた『踊る猫』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mocha
102
やっぱり折口さんの世界好きだな。船宿の女将・お涼さんの元に寄ってくる、ちょっと不思議な話8篇。滝行で祓ったもの、禊で落としたもの、さまざまな思いや悪いものが、川となり山や里を流れ下る。海からも深い世界のものたちが打ち寄せる。著者インタビューで印象的だった「真剣に向き合っても深刻にならない」という姿勢が、お涼さんや父親の甚八そのもの。とても心地良く、名残惜しく読了した。2016/05/24
Rin
81
【図書館】あやかし話とあるけれど、おどろおどろとしておらず、日常生活に溶け込むような不思議なお話。短編形式だけれど、すべてがつながっている。前半のちょっとした疑問も最後まで読めば納得できる。何よりも人外のものに対して昔ながらの受け入れ方がされているからか、怪異や異形のものに対して過剰に反応しない人々がすごい。主人公のお涼もさばさばとして性格で頼りがいのある姉御という感じ。それが、この物語を暗くせず読了感をよくしてくれている。個人的には深みがもう少し欲しかったけれど、さらりとほっと一息つける一冊でした。2016/12/29
nico🐬波待ち中
70
折口さんの紡ぐ「あやかし」の世界はじんわりと心に染みて心地好い!江戸っ子の人情話とあやかし話が優しく混じり合い温かい気持ちになった後、江戸の小粋なオチが付いていて落語を聴いている気分にもなれた。ストーリーテラーのような船宿若狭屋の女将・お涼がとても素敵な女性。情に厚くさっぱりしていて、人にも妖にも等しく温かい眼差しを向けている。いつまでもこの世界に浸っていたい気持ちになった。特に「狐憑き」「鰐口とどんぐり」「三途の川」が好き。この船宿若狭屋の物語も『踊る猫』『恋する狐』同様、是非シリーズ化して欲しい!2017/05/13
ぶんこ
64
箱崎の中州に船宿を営む甚八と一人娘のお涼の物語。 最初のうちは普通の人には見えない亡霊が見えるだけと思っていたお涼さんですが、最後のほうになって甚八さんが主役の短編になって初めて、妖の世界との繋がりが判りました。 なんと八衢の神の女房だったとは! 甚八さんの機転と肝っ玉の靭さを受け継いでいるお涼さんでした。 山姥に会えるかもと興味津々のお涼さんには、思わず笑ってしまいました。 沼の主に一発くらわす根性は天晴れで、爽快です。 この父にしてこの子有り! 面白かったです。2016/02/14
はる
57
「踊る猫」が良かったので期待していました。折口さんの新作です。こちらも「踊る猫」に通じるような、妖しくもどこか懐かしい物語。主人公は船宿の女将、お涼さん。きっぷが良くて人情深い。なかなか魅力的です。「踊る猫」はふんわりとした優しさでしたが、こちらは人情味のあるお話しが多い感じですね。シリーズ化するのかな。2016/01/08
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- 和書
- 獅子座、A型、丙午。