内容説明
琵琶湖畔にそびえる壮麗な怪建築群―“綺想宮”を訪れた名探偵・森江春策を待ち受けていたのは、美しき案内人・二十重亜綺楽と七人の奇怪な滞在客だった。この不可思議な宮殿に森江が到着した晩、自動的に詩をつむぐ機械「大発見」が火精、水精、風精、土精の呪文を歌い上げた。翌日から、天地創造の七日間を表わす曲が奏でられる中、滞在客は次々謎の死をとげてゆく。暗室で発見された五芒星の上の焼死体、毒草園に描かれた九芒星と地中に埋められた死体…それぞれの死体に過剰なまでに凝らされた「見立て」は何を意味するものか?本格ミステリを愛し、その神髄を知り抜いた著者が「探偵小説の最期」に捧ぐ訣別の書。
著者等紹介
芦辺拓[アシベタク]
1958年大阪府生まれ。同志社大学卒。86年「異類五種」で第2回幻想文学新人賞に佳作入選。90年『殺人喜劇の13人』で第1回鮎川哲也賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ダイ@2019.11.2~一時休止
62
森江春策の事件簿その18。大ボリュームの原因はうんちくの多さ?。ちょっと読みにくいって感じがあるがその雰囲気はイイ。2014/09/05
山田太郎
15
黒死館は読み初めて3分で読むの止めたので、これはどうかと思ったが、最後までいけた。薀蓄を読み飛ばしていったらわりとすぐ読めるというかそれじゃ意味ないじゃんと思いつつ、最後はなんだこれってかんじで、たぶんこの作者のほかのやつ読むことはないかなと思った。面白くないわけではないけど、なんとなくあわなかった。2011/03/24
CCC
14
黒死館っぽいけどそれより遥かに分かりやすい。良くも悪くも著者が話をコントロールしきっていたと思う。衒学の最終的な扱いが面白かった。2013/07/08
ホームズ
13
芦辺流の『黒死館殺人事件』という雰囲気の作品。雰囲気や蘊蓄としては芦辺流の『黒死館殺人事件』としては良かったけど・・・。残念ながら森江春策にそんなものを求めていないので・・・。ただ読みにくく退屈な推理小説になってしまった感じがしてしまった。とりあえず『黒死館殺人事件』を再読してみようかな~。2010/06/19
らきむぼん
11
第五の奇書と称される作品群の中では『神戯』を除けば現在のところ最新の作品。琵琶湖畔に聳える奇怪な建築群「綺想宮」を訪れた探偵森江春策が連続殺人に挑む。本格ミステリのコードを踏襲しながらも膨大な薀蓄で溢れかえり、主体が転倒してしまう様はまさに『黒死館殺人事件』のオマージュとして正統であるといえる。しかし黒死館に込められたアンチミステリの要素は更に深化し、本作ではその先の結論へと読者を引きずり込む。「最後の探偵小説、探偵小説の最期」と銘打たれたこの作品最大の特徴は綺想宮を彩るペダントリーの先にこそある。2019/08/31
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