内容説明
シンガポールと東京を行き来する富豪、久坂隆之の密かな愉しみは人妻やCA、キャリアウーマンなど多種多彩な女たちとの情事だ。彼の友人、田口も亡き夫の莫大な遺産を持て余す資産家。田口は京都の芸妓を愛人にした矢先、知的な中国人女性ファリンに恋をする。久坂もまた彼女に心惹かれて―。家柄、富、教養。すべて兼ね備えた五十代の男たちによる、優雅かつ淫蕩な恋愛遊戯を描く傑作長編。
著者等紹介
林真理子[ハヤシマリコ]
1954(昭和29)年、山梨県生れ。’82年エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』が大ベストセラーになる。’86年「最終便に間に合えば」「京都まで」で直木賞、’95(平成7)年『白蓮れんれん』で柴田錬三郎賞、’98年『みんなの秘密』で吉川英治文学賞、2013年『アスクレピオスの愛人』で島清恋愛文学賞、’20(令和2)年、菊池寛賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
148
林作品、初読みです。莫大な資産を持て余し、家柄、教養を兼ね備えた50代の男たちの優雅で華麗な恋愛遊戯。富を得た者だけが味わうことのできるこの淫蕩な暮らしを疑似体験できるのも小説の楽しみの一つ。一回の食事にポンと数十万円を支払えるような暮らし。きっと作者の林さんもそんな生活は嫌いじゃないはず。社会派、サスペンス等、幅広く手掛けているようなので、遅ればせながらぼちぼち追っていきたい作家さんです♪2022/05/08
じいじ
95
これは、まさしく林真理子だから書けたオトナのラブコメ小説であろう。主人公ドンファン(好色漢)の御曹司二人が生真面目なだけに、なおさらその面白さが伝わってきます。次から次へと、才智に富んだ女性たちに、思いのままに弄ばれる二人の男がとても愛おしく感じられます。正直に白状すると、とても羨ましい主人公たちでした。(笑)こんな富豪たちの「ラブゲーム」をこのように描けるのは、林さんしかいないであろう。2021/06/12
そら
77
家柄、教養、財産すべてを手にする50代男性たちの恋愛遊戯が堪能できる一冊。林真理子さんでなければおじさまたちの大人の遊びを覗いたりしなかっただろう。ただの金持ちの下品な性欲ではなく、知性溢れる社交にうっとりとさえしたくなる。特に京都のお座敷遊びや芸妓を愛人にする過程には興味をそそられた。巻末の大王製紙元会長の解説が付くことで、このストーリーがまんざら作り話ではないことに気付かされ、真理子先生の社交性にほうっとため息が漏れる。知らない世界はまだまだあるんだなぁ…。一生出逢えない世界だけど(笑)2021/11/01
トムトム
38
林真理子さん、エッセーしか読んだことがなく小説は初めて読みました。なんか、小説読んだな~!という満足感です。男女の事がどぎつく書いてありますが、この小説には必要な下ネタです。人生経験と知識の豊富な方にしか書けない世界だと思いました。誰でも読めるペラペラの本屋大賞ばかり最近読んでいたので、深みのある小説を久しぶりに堪能しました。2021/03/02
moe*
32
ザ・小説‼︎って感じで夢中になって読んだ。男性心理をここまで深く書き切る林真理子はやっぱりすごい!お金持ちの非現実なお遊びなんだろうなぁと思いながら、最後に大王製紙元会長が解説を書いていて、本当に面白かった。2021/04/17