桜の園―神代教授の日常と謎

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  • サイズ B6判/ページ数 333p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784488024420
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

W大教授・神代宗が同僚に伴われて訪れた、古めかしい洋館、「桜館」。同僚は館に住む三人の老女を魔女と呼んで恐れ嫌うが、その想いがどこから来るのか彼自身説明出来ない。老女たちの思惑を垣間見せながら、花見の宴は過去をなぞるように進み、神代らの困惑は深まるばかり。そのとき館の内から悲鳴が聞こえ―(表題作)。神代の亡き母の秘められた過去がよみがえる「花の形見に」。謎解きの味わい深い、繊細な煌めきを放つ力作中編ミステリ二編を収録した、“建築探偵”桜井京介の恩師・神代教授の事件簿第二弾。

著者等紹介

篠田真由美[シノダマユミ]
1953年、東京本郷生まれ。早稲田大学第二文学部卒。92年、第二回鮎川哲也賞の最終候補作となった『琥珀の城の殺人』でミステリ作家としてデビューする。94年刊行の本格ミステリ長編『未明の家』より建築探偵桜井京介シリーズを開始し、多くの読者を獲得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

へくとぱすかる

56
戦前と現代をつなぐ人々の記憶。チェーホフの「桜の園」にも似たシチュエーションの中、神代教授が遭遇するのは、40年前の世界と、今とが奇妙に交錯する出来事。没落する一家を桜に喩えるのは、やはり的確な比喩なのだろう。全体のノスタルジーに満ちた雰囲気が、桜の話とつりあって、まさに時間を隔てた歳月の「物語」を感じさせる。次の物語は神代自身の過去と重なった連作。2018/01/25

ちはや@灯れ松明の火

43
遠い記憶を紐解けば闇よりもなお昏い薄紅の帳の奥へと迷い込む。散り急ぐその花は清しさと儚さと共にざわめき立つような不穏を感じさせて、情念に彩られた謎を生む。三人の老魔女が棲む古びた館にて四十年前の昔をなぞるように繰り返される花の宴、降り積もる花弁に覆い隠された罪の痕跡。夭逝した母の思い出、喫茶店に出没する不審者、消えた絵画、瑣末な謎が繋がった時に浮かび上がる情景。大学教授の小さな謎に満ちた日々、けれどこれはまだ咲き初めの頃の物語。その先の未来に待つ桜色の闇を未だ知らぬ、賑やかながらも穏やかな春の日のこと。2010/12/20

紅はこべ

31
建築探偵スピンオフ第二弾の短編集。京介が院生、蒼が14才の時。共通するテーマは桜。死者が残した思いが生者を動かす。家族の絆は切ろうとしても切れるものではない。文学の引用もたっぷり。チェーホフ『桜の園』『マクベス』『古今和歌集』。建築探偵本編は京介と蒼がまともな愛情に欠けた家庭出身のせいで、愛に関しては寒々しいが、本シリーズは主人公の神代先生が屈折はあるにせよ、愛されて育った人なので、愛情問題に関しては清々しい終わり方をする。2010/02/05

扉のこちら側

25
初読。お屋敷と桜、演ずる女性たち。語り手の年齢が高いからか、いつものシリーズとは違う印象。2009/04/23

Norico

23
建築探偵のシリーズの神代教授が主役のスピンオフ。やはり、篠田さんは「館」好きですねー。母の違う女3人が暮らす「桜館」で起こった謎を解き明かしてきます。蒼くんたちが出てこなくてさびしいなー、と思ってたら、次の作品にはちょこちょこ登場。神代教授から話聞いただけで分かっちゃう桜井さんはさすがだけど、水彩画の方は、教授が自分で謎解いてほしかったなぁ。2015/03/01

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