出版社内容情報
幼い頃に家を出た父親を捜すため、姉弟が寂れた商店街を訪れる。手がかりは一枚の葉書のみ。やがて姉弟の行動は、商店街に変化をもたらし……。静かな感動を呼ぶ長編ミステリ。
内容説明
“白い街”と呼ばれ寂れゆく商店街を、高校生と小学生の姉弟が訪れる。姉弟の目的は、六年前に行方不明となった父を捜すこと。手がかりは、たった一枚の葉書だった。消印と裏に描かれた見知らぬおばあさんの絵だけが頼りの父親捜しを、無気力な画家や商店街会長を始めとした住人たちは見守るが、姉弟の元に街から出て行けと脅迫状が届いて…。一枚の葉書が、家族を、周りのひとびとを繋いでいく。過去から届いた父親の願いが静かな感動を呼ぶ、優しさに満ちたミステリ。
著者等紹介
西本秋[ニシモトアキ]
1972年福井県生まれ。立命館大学卒業。2002年、「過去のはじまり未来のおわり」で第24回小説推理新人賞を受賞しデビュー。物語に引き込む抜群の展開力を持つ気鋭の作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
50
素直を絵に描いたような小学生の弟と丁寧なのに真意を測りにくく妙に押しの強い高校生の姉、2人の父親探しを描いたライトなミステリ。解体工事の途中で放置されたままの廃墟ビルから吹いてくる白い埃が名前の由来となっている商店街の無気力な住人たちの意識が姉弟が来たことで少しずつ変わっていき、姉弟もまた少し成長して大人への道を歩き出す。いや、父親を探そうとした時点で、彼らの大人への旅は始まっていたのだろう。2023/11/15
ひめありす@灯れ松明の火
49
一枚の水彩画の絵手紙を頼りに、冬の街を訪れる幼い弟と姉。そこにあったのは、白く掠れた商店街でした。朽ちるに任せた商店街と、そこに住まう不可思議な大人達。バトンパスをしていくように、次々と現れる繋がりの絵手紙。一見順風満帆に見える二人の冒険も、姉は秘密を隠していて……。花も良くわからないし、明人に至ってはもっと謎な人物でした。しかし、この街の方々物持ちが好過ぎるでしょう。三年前の絵手紙が一枚もなくならずに保管されてるなんて!最後姉弟の未来も、商店街のこれからも、やわらかな希望がある感じで良かったと思います。2014/07/30
九月猫
19
年の離れた姉弟、高校2年の花と小学4年の修が、行方不明の父親を探すために「白い街」を訪れる。手がかりは一枚の葉書。宝探しやパズルのような葉書探しや絵のリレーは面白いけれど、街の人たちが抱える寂れゆく商店街の問題にも触れ、切ない。隠されていた事実が浮き彫りになっていく度、花と修の父親に対する温度の違い、花の我慢強さや修への過保護さ、最後には修の遠慮のない物言いやウザイ程のストレートさの理由も分かり、また切なくなる。街や人の再生もあり、あったかいお話になっているのに、切なさのほうをより感じた。YA寄りな印象。2014/04/25
coco
18
姉弟の二人にあまり共感できず、いまいち物語に入り込めなかったけど、葉書の謎・展開はステキだったと思う。廃れた商店街・成長した姉弟のこれからに光が感じられる終わり方でほっこりした。2014/07/18
チガ
17
一枚のハガキを頼りに姉弟が父親を探すため消印のある商店街を訪れる。ハガキがリレーのように繋がっていく展開や商店街の人々や花、修の成長は良かったのですが、いまいち物語に入り込めなかったです。2014/08/03