内容説明
野外劇場の搬入口近くのベチで発見された、「義足のダンサー」として有名だった桐生志摩子の奇妙な死体。現場は、彼女が自らの人生を重ねてきた、アンデルセンの童話『赤い靴』になぞらえられたような状況であった。健常だった右足は切断されて行方不明。そして彼女の左義足と、持ち主不明の謎の右義足が、彼女のトレードマークであった赤い靴を履かされ、舞台に放置されていた。まるで義足が、赤い靴の呪いで踊ったかのように―。彼女の夫から相談を受け、義肢装具士の香坂徹と妹の奈緒、そして再生医療の研究者である鴇圭一郎は調査を開始するが、事件は予想もしない展開を見せる…。鮎川哲也賞受賞作家による、渾身の傑作ミステリ。
著者等紹介
麻見和史[アサミカズシ]
1965年千葉県生まれ。立教大学文学部卒。2006年、『ヴェサリウスの柩』で第16回鮎川哲也賞を受賞してデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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そのぼん
35
義足のダンサーの女性が殺されたことから始まるミステリーでした。結構義足に関することも事細かに描かれていたので、その辺りも興味を持って読みました。やはり義足で生活する大変さもなかなか健常者には理解しづらいだろうし、だからこそ義足を作る側や医療関係者も苦労するところなのではないか、と思いました。2013/08/07
達ちゃん
30
ほとんど知らなかった義肢のことがすごくよくわかって良かったです。赤い靴にまつわるミステリーもなかなかの面白さでした。2021/09/12
ゆう
28
図書館本。片足が義足のダンサーが殺され、両足が無い状態で発見された。アンデルセンの「赤い靴」に見立てられたように。探偵役の鴇は個人的にはう~ん…て感じなのですけども…。でも、義足をテーマにしたミステリーは初めて読んだから知らないことがたくさんあったし、勉強にもなったし、面白かった。アンデルセン、グリム、童謡ってどこかゾワッと怖いのよね。2015/03/27
蒼
27
義肢ユーザーのダンサーが殺害され、その真相を追う義肢製作者の物語。ではあるが、自分は「名探偵、みんなを集めてさてと言い」的な終わり方が好きではないということに気がついた。殺害される人間にも、犯人にとっての止むに止まれぬ動機が今ひとつ薄くて、謎ありきの事件のような感じがして入り込めなかった。ただ事故や病気で義肢を使用せざるを得ない人たちが、偏見や蔑視を受けることなく生きられる社会であってほしいと思いページを閉じた。2020/07/24
チャコ
26
義足の女性ダンサーの死から始まるミステリ。伏線がかなり目立っていたり、殺された妻の事件の捜査の依頼を事件解決の実績がある訳でもない、かなり遠い関係性の人にすることに不自然さを感じたりと、ミステリとしては正直イマイチな印象です。ただ、義肢やそのユーザー、また義肢装具士という職業について詳細に分かりやすく書いてあるので、そういう世界を知ることが出来たのは収穫でした。2014/01/31