内容説明
「しずくは観覧車に乗りたい」富豪の夫人に売られてゆくことが決まり、最後の願いを口にした見世物小屋の人魚は、観覧車の客車から泡となって消えた。水神の怒りに触れて浅草は水中に沈んだのか。いや、地上という水底から人魚がその身を縛るもののない空へと還っていったのか―(表題作)。心優しき雑誌記者と超絶美形の天才絵師、ふたりの青年が贈る帝都探偵物語。明治の世に生きるふたりの青年の交流をあたたかに描いた、新鋭の人情味あふれるデビュー作品集。
著者等紹介
三木笙子[ミキショウコ]
1975年秋田県生まれ。第二回ミステリーズ!新人賞の最終候補作を改稿し連作化した『人魚は空に還る』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
83
世の中には辛くて悲しく、遣る瀬無いことはある。でも綺麗な物は綺麗で人を励ましたり、優しさや希望と言う灯りがある限り、心を勇気付けてくれる。だからこそ、人は進んでいくことができる。欠点も過ちも大切な人がそばに居て見守ったり、諭したりしてくれるだけでも真珠となる可能性へと繋がる。「灯りをともすとはいいものだな・・・」皆に希望と言う名の灯りが何時までもありますように。2011/03/20
nyanco
63
し、知りませんでした。この扉絵『まほろ』の下村富美さんじゃないですか!おまけに主人公は男性二人、一人は超絶美形の天才絵師!BL好きならずとも気になる~w舞台は帝都!ホームズ役の高広は英語が堪能で造詣も深く…、おお何とそんな立派な血筋を持っていたとは…。そしてワトソン役は超絶美形の当世大人気の天才絵師。二人が本当に魅力的!彼らが解く謎解きも見事。脇のキャラも良い。人魚のせつなさ、見世物小屋の妖しい雰囲気。そして怪盗まで登場させちゃうなんて…。これがデビュー作だなんて凄すぎ!2010/01/07
ちはや@灯れ松明の火
60
帝都に咲き誇るは絢爛たる謎の華。腰の低いホームズは身に余る僥倖に戸惑う自己過小評価のお人好し雑誌記者、高飛車なワトソンは怜悧な美貌と辛辣な性格を併せ持つ売れっ子天才絵師、共に美に純粋な敬意を抱く者。学生天才彫刻家の失踪、真珠盗難事件、観覧車から消え失せた人魚、睡蓮の名を冠する怪盗と洋画。謎もまた真珠の如くその原因や真相は取るに足らぬ日常の些事であり、偶然や工作等の真珠質が幾重にも取り巻くことによって艶やかに彩られていくのだろう。近い未来闇に堕ちていく都を束の間、光輝かせるように。2010/01/22
えりっち
56
初めて読む作家さん。軽めのミステリで短編なので読みやすかったです。ミステリ重視ではなく、記者と絵師二人の友情物語として読めました。次作も読んでみます。2015/12/29
yourin♪
49
なんでしょう、このおいしい設定・・・。ワトソン役・礼は超絶美形の天才絵師だし、腰の低いホームズこと高広だって心優しい好青年と思えば、悪漢をなぎ倒しちゃうくらいの腕前持ってたり・・・。 そんな二人が明治の東京を舞台に謎解き♪ 人魚の話も面白かった^^ そして怪盗ロータスでしょうっ! 子供の頃はホームズよりルパンだった私は、ロータスにメロメロです。続編でもロータス出てこないかなぁ~。高広ともう一度勝負して欲しいわ~♪2010/08/03