出版社内容情報
キプロス島にユダヤ人の国を築く……。16世紀のヴェネツィア、コンスタンティノープルを舞台に見果てぬ夢を追い続けた男たちの姿を描く、歴史エンターテインメント巨編。
内容説明
男たちの見果てぬ夢が、ふたつの国の運命を変える。キプロス島にユダヤ人の国を築く…。敗者の側から見たレパントの海戦。16世紀のヴェネツィア、コンスタンティノープルを舞台に、夢を追い続けた男たちの姿を描く歴史エンタテインメント巨編。
著者等紹介
さとうななこ[サトウナナコ]
新潟県出身。武蔵大学人文学部卒業。日伊の翻訳通訳者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かもめ通信
19
書評サイト本が好き!を通じての頂き物!ヴェネツィア、ドゥブロヴニクに、コンスタンティノープル。キリスト教にユダヤ教、イスラム教と異なる宗教と異なる思惑。諜報部員にユダヤの富豪、帝国スルタンに名をはせる海賊、美しい娼婦に誇り高い侍女、奥方に寵姫、キプロスの籠城戦に、艦隊の並ぶ海戦。これぞエンターテイメント!という豪華絢爛(?)ぶり。映画にしても面白そう。もしどこかの旅行会社が物語の舞台を巡るツアーを企画したらほいほいついて行ってしまいそうなぐらい、本のページから立ち上る視覚的なあれこれも楽しんだ。 2015/03/06
NAO
15
自らの出生の秘密を知られ、放火犯として追われたヴェネツィアの諜報員を助けたのは、彼が追い続けていたユダヤ人ヨセフだった。キプロスにユダヤ人の安住の国を作ろうという夢にとりつかれたヨセフに魅せられ、かつてのヴェネツィアの諜報員はユダヤ人として生きることを決める。16世紀の地中海沿岸の海権争い、宗教を越えた権謀術数は、読み応え満点。作家ユニットメンバーが「Q」のときとは若干入れ替わったとはいえ、「Q」のイメージを色濃く残し、「Q」よりずっと読みやすくなっている。2015/06/26
funuu
14
「ヴェネツィアとオスマン帝国、レパントの海戦」キリスト教とイスラエル教とユダヤ教。現代と状況は変わらず。日本が世界的には変わった国なのだろう。やはり最後は近代科学が勢力地図を変える。核を持ったユダヤ人国家イスラエルが核戦争の引き金を引きそう。そしてまた、ジェノサイドか?2017/03/25
bapaksejahtera
6
イタリアの作家集団の名を変えての第二弾。初作の「Q」で反カトリック闘争を担った前主人公に資金を低供したユダヤ人富豪はイスタンブルに移って今回主人公を助ける。一方前主人公はユダヤ人富豪のコンサルとなって登場。だがこれは本作のにとって裏話に過ぎない。半分ユダヤ人の本作主人公はその出自ゆえの運命に抗いつつキプロスを巡るトルコとベネチアの戦に巻き込まれる。私には「Q」とは異なり冒険小説の趣は薄くむしろ政治軍事小説と感ずる。書名の由来も気にしつつ読んだがエピソードにとどまる。むしろ背景にシオニズムの愚が窺われる。2020/04/11
みさ
5
国を持たないユダヤ人が自分の王国を求めるのだが、どこも既に人が住んでおり、戦争に訴えるしかどかす手段はない。民族の安息の地を得たいという理想と、そのためには既にある街を滅ぼさなければならないという現実と、戦争という手段に出るもユダヤ人は戦場には出ないという手段とが絡み合う。今のイスラエルもパレスチナをどかしたものであると思うと、ユダヤ人の境遇というのはやるせない。そして女たちの陰謀はどこまでが陰謀だったのか。なんて興味深い小説だろう。ちなみにQの主人公が出ていて嬉しい。2022/12/15
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