内容説明
音を聴き、光を捉え、気配を感じる。五感は皮膚からはじまった!現代の病理は、子ども時代の「ふれあい」にあった。最新の皮膚科学研究が導きだした、驚異の機能。
目次
第1章 露出した「脳」
第2章 五感はすべて皮膚から始まった!
第3章 皮膚は心をあやつる
第4章 豊かな境界としての皮膚へ
著者等紹介
山口創[ヤマグチハジメ]
桜美林大学准教授。早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程修了。専攻は、臨床心理学・身体心理学。聖徳大学人文学部講師を経て、現職。臨床発達心理士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Sakie
17
進化の過程で人間は大部分の体毛を失った。それにより鋭敏な触覚、皮膚の状態を保つ防衛システムとともに、外部刺激に対する、神経を介さない情報処理を著者は挙げている。神経を介さないとはつまり、皮膚が広大な感覚器であるにもかかわらず、中枢集約型でない情報処理をしていることで、そのために錯覚が少ないのだそうだ。振動や熱、音や光も受け取る。他者に触れる行為は言うに及ばず、物理的に触れなくても受け手は気や気配を感じることができる。つい情報処理の大部分を占める視覚と脳に頼りがちだが、皮膚にはもっと活躍する余地がありそう。2024/06/22
K K
4
面白い!心が肌の状態を変えるというのはすごい。 男性の脇の下の分泌物のアルコール抽出物が女性の月経周期に影響を与え、女性の抽出物が女性の月経周期を同調させるってすごい。 離れている対象も近くする皮膚。 超音波も実は脳では聞いているおり、低周波音は恐怖の原因になる。 皮膚は錯覚が少ない。 カメレオンは感情によっても色を変える。 触れなくても人は皮膚の振動を感じる。 撫でるだけで1/f ゆらぎ が起きオキシトシンを分泌できる。 オキシトシンは母性を強め、生理学的な意味の勿忘草というのはいい。2017/06/19
茶幸才斎
2
皮膚は様々な波長の音を振動として感知している、なにせ太鼓には動物の皮を使うくらいだからね、みたいな感じで、触覚を担うだけでない皮膚の驚きの機能から、自己と社会の境界としての皮膚論まで、想像力豊かに論じている。接触によって皮膚は振動し、その振動は額を伝って脳に影響を及ぼしているそうだ。私も負けずに、脳を覆う血管網の血流が生み出す振動がグリア細胞を経て脳内の情報処理に影響を与えている、つまり脳は心臓が生み出す血流のリズムの支配下にある、という説を提唱させてもらう。なにせ頭のいい人は血の巡りがいいと云うからね。2013/01/31
mat
1
武道でもちいられる秘術の仕組みを解明する手掛かりになります。2016/06/25
Sosseki
1
皮膚には温度、圧力だけでなく、光や色や音(超音波)を感じることができるという本は前にもどこかで読んだ気がする。たいした器官だ!指先で(嫌な物を)「触る」と手のひらで「触れる」とか、育児・介護でのふれる効果等、そうかもと思う。2016/02/07