内容説明
難解といわれる人類不朽の名著『純粋理性批判』の核心を読み解き、カントが追求した根源的な問いを新たに問いなおす―「人はなぜ『なぜ』と問うのか」!破綻する理性の起死回生に果敢に挑戦する思考のメカニズムとダイナミズムをわかりやすく解き明かす新・哲学入門。
目次
第1章 理性とはどんな能力だろうか
第2章 理性が破綻する
第3章 理性の世紀―理性の謳歌
第4章 理性の限界―理性の悲歌(エレジー)?
第5章 理性の起死回生
第6章 「なぜ・なぜならば」の極限としての自由―起死回生(その二)
おわりに―「人間は理性的動物である」の真の意味
著者等紹介
石川文康[イシカワフミヤス]
1946年、北海道に生まれる。同志社大学大学院博士課程修了。ドイツ、ハイデルベルク大学、ボン大学に留学。ミュンヘン大学、トリアー大学にて客員研究。東北学院大学教授。日本カント協会役員。哲学博士(Dr.Phil.)。専門はカントを中心とする近世ヨーロッパ哲学。国際学会での学術講演や研究雑誌への寄稿など、海外におけるカント哲学研究の最前線で活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さえきかずひこ
11
幅広く奥深いカント思想におけるアンチノミーについて考えることで、人間理性とは何なのかを問うていくカント入門書。論理的に考えることの難しさを丁寧に解きほぐしている本書であるが、文と文の間の含蓄に富み、一度読んだだけでは味わいきれない滋養に満ちている。また、本質的には難解なことを解説しているので、するする読める文体だが、あちこちで読者は間違いなく立ち止まることになるだろう。カントだけではなく彼の前後また同時代のメンデルスゾーンなどの思想の要点も押さえてあり、哲学的果汁が凝縮されている。背伸びして読みましょう!2019/02/05
しんさん
4
「ライプニッツによって『理性の世紀』に生を享けた十分な理由の法則は、決定理由の法則への脱皮を経て、ヒュームによる危機を体験しながらも、アプリオリな総合判断として立派に成長をとげる」。カント「入門」らしいのだけど、なにが何やら・・・。相変わらず哲学、量子力学、五胡十六国時代は鬼門。熟読は老後のお楽しみってことで。2023/04/21
しゅう
1
カント入門と同じ著者。 カント入門を読んでて感じたが、カント哲学のなかでアンチノミーを重要視している。 2021/09/19
chichichi
1
同時代、及びカント以前の哲学者を紹介することで、そもそもカントがなぜ理性を疑うに至ったかを追体験しながら読み進めることができる。また他の本と違って、カント哲学独特の意味が取りにくい訳語を用いずに書いているので専門家でなくとも読みやすい。(「悟性」という言葉を本書では使っていない)2011/06/14
センケイ (線形)
0
納得のオチ。途中は読みやすく、あのカントの本であるということを忘れてしまうほど。2014/05/20