出版社内容情報
中原中也とフランス詩、とりわけランボーとの火花散る出会いに光をあて、受容からその創造にむかう〈書くこと〉のドラマを、知られざるエピソードとともに綴る。
内容説明
ランボーの名詩句の翻訳に秘められた中原中也に託した小林秀雄の思いに迫る「唄は流れる」の章など、短い生涯にあってランボーとの出会いに命を燃やした中也に光をあて、受容から詩の創造に向かう“書くこと”のドラマを描き出す。
目次
序章 詩を読むという行為について
近代詩の移入から創造へ
フランス詩の磁場
中原中也とフランス近代詩
中原中也とランボー
唄は流れる
フランス語になった中原中也
中原中也と立原道造
偽作のはなし
白熱の現在を生き続ける詩人
著者等紹介
宇佐美斉[ウサミヒトシ]
1942年、名古屋市に生まれる。フランス文学者。京都大学名誉教授(同人文科学研究所名誉所員)。ランボー研究を中心としたフランス詩を専門とする。日本の詩についての論考も多数。著書に『落日論』(1989年、和辻哲郎文化賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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koala-n
2
ちくま文庫の『ランボー全詩集』の翻訳や『中原中也全集』の翻訳篇を担当した、近代フランス文学の専門家の(準)研究書。タイトル通りにアルチュール・ランボーと中原中也が扱われるが、個々に論じられるのではなくて、ランボーの詩を中也がどのように訳し、さらにそれが自身の詩作にどう影響したのかが明らかにされていたりして、ファンならずとも興味深く読めた。それ以外にもフランス詩の翻訳・受容についての論考も収められており、日本の近代詩の形成を考える上では避けては通れないこういった問題に対する理解を深めることが出来たと思う。2013/12/19
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