内容説明
博物学・浮世絵・世界図・読本―。同時代の異質な個性とジャンルを織り込んで、蛇行する近世の〈運動〉を描く気鋭の処女作。
目次
第1章 金唐革は世界をめぐる―近世を流通するもの(世紀末天明様態;天明元年のかばやき;金唐革は世界をめぐる;紙から見た美術史;本草学は借金錬金術;源内伝説と密貿易)
第2章 「連」がつくる江戸18世紀―行動本草学から落語まで(動く本草学へ;俳諧のネットワーク;作ったものの連・作る場の連;狂歌連と落語;連の生み出したもの―解体新書・東錦絵・銅版画)
第3章 説話の変容―中国と日本の小説(宋の説話人;俗文学の流入;呼び起こされる神々;浮世草子『白娘子永鎮雷峰塔』の世界;生命的なるものをめぐって)
第4章 世界の国尽し―近世の世界像(はなしと江戸文学;近世世界地図遍歴;マテオ神父の冒険;白石の懐疑;複数の世界像;羅列の形式―尽し・競へ・道行・双六・絵巻)
第5章 愚者たちの宇宙―『春雨物語』の世界(列挙が可能にするもの;意味づけからの奔走;境界を生きる者たち―愚者・悪漢・人間もどき;源内と秋成―江戸18世紀の両極)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
0422
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いい。2014/03/27
ぎんしょう
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秋成と源内が中心。秋成について、「蛇性の婬」の豊雄を境界的と捉える視点がおもしろく、おそらくそこから見えて来るものが多くあるだろうと思う。ただ、もう少し、日本文学研究的にも、思想的にも迫力があったらよかったかなあ、という風には思いました。刺激的にしてはややあっさり。2011/12/23
muko1610
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★★2009/06/07
qwel21
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近世を通じた基本方法である様式、連語と列挙方式。平賀源内を皮切りに闇に生きていた近世に光を当てる一冊。2009/05/12