出版社内容情報
この世は思いもよらないことが起きる。確率通りには物事は進まないし、予測しコントロールすることも難しい。それでも自分を見失わないため心構えを届けたい
内容説明
この世は思いもよらないことが起きる。理屈通りに物事は進まず、予測も、コントロールも難しい。消えない不安の中で、自分を見失わないために、大切なことを届けたい。
目次
第1部 空に吸はれし十五の心(「バンジージャンプ」が飛べない君へ;「魔法」の使い方;評価の憂鬱 ほか)
第2部 私たちの社会の行方(日本人のルーツ;“水”のようにしなやかに;「モグラ」の心意気 ほか)
第3部 科学と非科学のあいだで(UFOは非科学か;ベターな選択;組織化の起源 ほか)
著者等紹介
中屋敷均[ナカヤシキヒトシ]
1964年、福岡県生まれ。1987年京都大学農学部卒業。博士(農学)。現在、神戸大学大学院農学研究科教授(細胞機能構造学)。専門分野は、植物や糸状菌を材料にした染色体外因子(ウイルスやトランスポゾン)の研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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よっち
37
この世は思いもよらないことが起きる。理屈通りに物事は進まないし、予測もコントロールも難しい…。自分を偽らず、生き生きとした人生を送るために大切な心構えを伝える一冊。リスクのない選択をしたいと思うようになると何も選べなくなってしまう、自分で選択した選択をベストにするよう生きていく覚悟が肝要で、評価の俎上に載せられることを忌避する思いに対する数値評価の客観性、生物は環境に対してある程度慣れを持ちやすいこと、歴史や科学も意識しながら、そういう中でベターな選択を意識してきた著者さんの生き方がなかなか印象的でした。2024/02/28
ちくわ
34
中屋敷先生の本も三冊目である。既刊とは異なり、専門的な知識が無くとも理解出来る内容が多く、一方でメッセージ性が強めでエッセイに近い趣きがある。以下、私見だが…理系の研究者って、未知の法則を見い出したり、新たなモノを創造するのが仕事なので、視線の先は往々にして真っ暗な未来(≠鮮明な過去)である。そんな不安だらけな場所を手探りで進まなければならないからこそ、自分の中に確固たるコアと言うか信念を持っていないと続けられない。研究って『信じるしか無い』部分も多いんだよね。宗教と紙一重だと感じる事も多かったなぁ…。2025/07/09
まゆまゆ
20
科学の力も及ばない、先を見通せず自分の思い通りにならないこの世界にどう向き合っていくかを語るエッセイ風の内容。見えないものと向き合うことにこそ生きている意味があるのでは。どんな選択をしても、それに伴うリスクが必ず存在する。絶対正しい選択などないのだから、恐怖に耐え自分の責任で選んだ何かをベストにするように生きていく覚悟を持て。2024/05/02
oooともろー
8
第三部だけ文体が変わる。何か意図が?わからないことに慌てて正解を求めない。生物はそもそも不合理な面を抱え込んでいる。将棋と麻雀の比較は面白い。2024/07/16
みさと
8
この世には「わからないこと」や「自分がコントロールできないこと」が多くあるが、それもこの世界の重要な一部。そして「絶対に正しいこと」もない。その中でどう生きていくかを語る老生物学者のエッセイ。リスクをゼロにすることはできず何も正解がない。かといって自分で選択することをせず他人に委ねてしまえば、支配されてしまう。ではどうする?生物学者らしく生物のあり方から手がかりを探る。その視点がユニーク。転校後、今に至るまで会うことができなくなったこども時代の親友と野山を駆けずり回った思い出は、読んでいて胸が熱くなる。2024/04/16