出版社内容情報
決められたことには何の疑問も持たずに従うことが正しい? ブルシットなルールに従う前に考えてみよう! ルールの原理を問い、武器に変える法哲学入門。
内容説明
決められたことには疑問も持たず従うことが正しいと思っている人が日本社会には多い。だが、ルールはどういう趣旨で存在するのか、その目的を理解した上で従うものではないか?ルールの原理を問い、武器に変える法哲学入門。
目次
第1章 ルールは何のために生まれたのか
第2章 ルールが成り立つ必須条件
第3章 フェアプレーの精神―ルールに反していなければいいのか?
第4章 時代に応じて変わるべきルールもある―たとえば結婚
第5章 復讐するは誰にあり?―報復のルール
第6章 なぜ人々は立ち止まらないのか―法律でも変えられないルール
第7章 こんなルールは嫌だ!―ダメなルールの特徴
第8章 民主主義は公正じゃない
著者等紹介
住吉雅美[スミヨシマサミ]
1961年北海道生まれ。北海道大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(法学)。山形大学人文学部助教授を経て、青山学院大学法学部教授(法哲学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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よっち
38
決められたことに疑問も持たず従うことが正しいと思う人が日本には多い。だがルールはどういう趣旨で存在するのか、その原理を問う法哲学入門。様々な局面に則して作られた多様のルール。人は意外と自分が損をしてでも公平さやを求めていて、一方で時代に応じて変わるべきルールもあり、そもそも法律そのものが復讐を止めるためのものだったという経緯や、利己的な人々が社会秩序を作っていった側面や、混乱をもたらす中途半端なルールや多数決の根拠のない偏見も取り上げていて、清濁併せ呑むルール作り…がベストでもなかなか難しいですね(苦笑)2024/01/17
venturingbeyond
30
こちらは、山陽〜東海道新幹線車中で読了。先程読み終えた『はじめてのフェミニズム』と比べると、レーベルの想定読者にきちんと届きそうな、規範理論の入門書。各人の自由・権利を適切に保障する社会秩序を構築・維持するための規範について、その条件、適切な導出法などなど、高校生レベルでも十分咀嚼可能な平易な叙述で、規範理論の主要テーマを伝える。時折差し挟まれる小ネタは、前著同様に住吉先生の漫画やゲームへの造詣の深さが垣間見られる。末尾のLGBT理解増進法への批判は、全くもってその通りのど正論。好著です。2023/11/23
kei-zu
23
著者の「あぶない法哲学」(講談社現代新書)は良書でした。本書も「あぶない」視点から読者の固定観念を揺るがします。エスカレーターの片側をなぜ人は空けるのか。エスカレーターでの歩行禁止を条例で定めた自治体では、当初は歩行が減ったが、やがてほぼ元どおりになったという。 人を縛るのが「制定された規律」でないとすれば、何なのか。自宅でのトイレでの小用を座って行う男性が多くなっていることと比較して解き明かしもする。 想定読者の高校生には、これぐらい「毒」がある本が楽しい。2023/12/02
ta_chanko
19
そもそもルール(法律・刑罰・決まり)は何のためにあるのか?それは世界や社会を円滑に回すため、復讐の連鎖を止めるため、弱者を救済するため...。しかしそもそもの理由が忘れられ、ルールが絶対視されたり破った者が袋叩きにあったりすることも多々。コロナ禍の日本においてはルールですらない「要請」が猛威を振るった。ルールには公平性と普遍性が不可欠。ルールを制定する側の権力者が守らなかったり、特定の人々が得(または損)をするようなルールは不適切。時代によって変えていくことも必要。最終的には、清濁併せ呑むのがルール。2024/01/17
takka@ゲーム×読書×映画×音楽
17
あとがきで書いてある「清濁併せ呑む」の言葉に尽きる。共同体のルールは個人的選好のみでは成り立たない。得するときもあれば損をするときもある。ただそれがLGBTQやコロナのマスク・ワクチンなどのように、同調圧力にしてはいけない。「自分の価値観だけが絶対」だと思わないこと。私が読書やゲーム・映画などあらゆるものに触れ、ジャンルも問わず触れるのは好奇心だけではなく、自分にはない価値観が知れることや、ジャンル内でも触れることができるものを探すためだ。「ホラー映画だから…」とジャンル自体を拒否するのではなく模索する。2025/06/08