出版社内容情報
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「日本版CIA」は、なぜ存在しないのか?
今後あるべき姿は?
二つの国家〈大戦略〉の変遷からインテリジェンスの戦後史を描き出す、画期的研究!!
インテリジェンス研究の第一人者による翻訳最新刊。
急速に情報収集能力を強化し「正常化」を目指し始めた日本のインテリジェンス。諸外国と比べ「未発達」と見なされてきたが、同時に経済・技術分野への注力といった独自の発展を遂げたものでもあった。本書は、「吉田ドクトリン」と近年登場した「安倍ドクトリン」という二つの〈グランド・ストラテジー〉を取り上げ、そこに埋め込まれた規範が、戦後日本のインテリジェンスに及ぼした影響を、機密解除されたCIA資料や文献、広範なフィールドワークやインタビューをもとに、歴史的過程を仔細に検証しすることで明らかにする。
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【目次】
謝辞
はじめに 日本の対外情報システムの正常化
第1章 日本のグランド・ストラテジーおよび内包された規範
――吉田ドクトリンから安倍ドクトリンへ
第2章 日本における米国の秘密工作
――二国間主義を遵守する従属的な同盟国の育成
第3章 米国の情報の傘
――二国間主義と冷戦時代の日本の対外情報活動
第4章 テクノロジーの探求
――発展指向型国家としての日本の対外経済情報システム
第5章 日本の対外情報システム
――反軍国主義と縄張り主義の影響
第6章 グランド・ストラテジーの再構築
――進化する日本の対外情報システム
おわりに 国際的なインテリジェンスの常道へ
注/参考文献/人名・組織名索引/図表一覧/訳者あとがき
【目次】
謝辞
はじめに 日本の対外情報システムの正常化
第1節 軍事指向のインテリジェンス理解を超えて
第2節 「暗部」に光を当てる――日本のインテリジェンス・コミュニティ
内閣情報調査室(内調)/警察庁/外務省/公安調査庁/防衛省
第3節 相対的に未発達で「特異な」対外情報組織
第4節 本書の意義、目的および主張
第5節 概要
第1章 日本のグランド・ストラテジーおよび内包された規範
――吉田ドクトリンから安倍ドクトリンへ
第1節 冷戦時代の国家安全保障戦略――吉田ドクトリン
国際的に組み込まれた規範――二国間主義/国内に組み込まれた経済規範――開発主義およびテクノナショナリズム/開発主義および発展指向型国家/テクノナショナリズム/国内に組み込まれた安全保障の規範――反軍国主義
第2節 グランド・ストラテジーの進化――浮上する安倍ドクトリン
二国間主義――自律性の拡大から対等な同盟関係へ/開発主義の終焉/テクノナショナリズムからテクノハイブリッド・モデルへの不本意な移行/「積極的平和主義」――反軍国主義の規範からの急進的な逸脱?
第3節 結論
第2章 日本における米国の秘密工作
――二国間主義を遵守する従属的な同盟国の育成
第1節 敵対領域に入ったCIA
第2節 保守的なエリートの育成
緒方竹虎――従順な紳士/正力松太郎――メディア界の大御所であり原子力利用論者/賀屋興宣――狡猾な長老であり豪傑/岸信介――手厚くもてなされた戦争犯罪者/児玉誉士夫――非凡な才能を持った政財界の黒幕
第3節 日本の保守派――操り人形の糸を切ること
第4節 日本における米国の秘密工作の成果
第5節 結論
第3章 米国の情報の傘
――二国間主義と冷戦時代の日本の対外情報活動
第1節 慎重に始まった二国間の情報協力
第2節 共産主義を封じ込めるための制度構築および共同作戦
二国間主義の利用――占領下のカトウ機関/竹松作戦/占領後の連携相手の創設――内閣総理大臣官房調査室/日米両軍の共同ヒュミント部隊間に生じる緊張感――ムサシ機関/盗聴すること――日本の通信傍受組織の設置
第3節 シギント施設へのアクセス――二カ国関係の強化
第4節 従属的な同盟国を操るための情報共有
1976年のミグ25(MiG-25)戦闘機パイロットの亡命事件/1983年の大韓航空007便撃墜事件/日本と