出版社内容情報
本をテーマにしたマンガ・アンソロジー。水木しげる、永島慎二、つげ義春から若手の作品まで16作品を収録。本に溺れる、そこにドラマが生まれる。
目次
1 愛書狂(愛書狂(辰巳ヨシヒロ)
きょうのひと(西村ツチカ) ほか)
2 本が運ぶ(新宿泥棒神田日記(うらたじゅん)
俺様!(こうの史代) ほか)
3 奇書と事件(巻物の怪(水木しげる)
殺人者の蔵書印 「栞と紙魚子」シリーズより(諸星大二郎) ほか)
4 漫画愛(雨とポプラレター―「ペンだこパラダイス」より(山本おさむ)
劇画バカたち!! 第一話(松本正彦) ほか)
おわりに(蒸発「無能の人」より(つげ義春))
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
吉田あや
83
【書痴】読書ばかりしていて、他を顧みない人。書物の収集に熱中している人。___あまり好意的な意味合いとしては使われない<書痴>。しかし本好きにとって最高の題材であり、その編者が山田英生さんとくれば読む前から面白さは約束されたようなもの。書物に憑りつかれたように<蒐める>ビブリオマニアの話だけでなく、彩り豊かに魅了してくれる。矢張り本は読んでも、集めても、積んでも、眺めても愉しく、本への抗えない想いを持つ人の性癖を確実に突いてくる魅惑のアンソロジー。2022/01/09
keroppi
82
「書痴」とは、読書ばかりしていて世の中のことにうとい人、書物の収集に熱中している人を表すらしい(コトバンク)。この本には、まさに本好き漫画好きのために発掘された漫画がいっぱいだ。今まで知らなかった漫画家の作品もあるし、著名な作品もある。子供の頃読んで心に残っていた石原はるひこの「鏡」があったのには感激だ。書物とは人を迷わし、快楽に誘い、生きる術を導くものであるのだなと思う。私も書痴の一人であることを実感する。これだけの漫画を発掘してくれるちくま文庫、さらなる漫画アンソロジーを期待したい。2022/01/13
HANA
80
本に関連した漫画アンソロジー。表紙は諸星大二郎。以前古本市でこのイラストを目にし欲しくなったのだが、今回手に入ったのが何より嬉しい。ただ「書痴」と題名にあるが、純粋に書痴を扱った内容はフローベールを元にした辰巳ヨシヒロ「愛書狂」だけで、後は本は刺身のツマ程度しか触れられていないものも多い。この辺予想したのとは随分違ったなあ。ただ水木しげるの未読作品と栞と紙魚子シリーズ。とりわけ読んでると身に詰まらされるつげ義春の「蒸発」を再読できたのは嬉しいことである。書痴とは違ったが、本にも色々な様相があるという事で。2022/01/13
寺(いつも上品でごめんね)
76
「書痴まんが」というが、書痴らしき人物が出てくるのは冒頭の辰巳ヨシヒロ等の一部で、大半はただ本にまつわる短編漫画である。劇画勃興期や手塚治虫の思い出を描いた話は書痴でも何でもない。しかし面白いのは面白い。読書好きなら買って読んで損は無い1冊だと思う。つげ義春のは『無能の人』の一部分で、幕末の俳人・井月の小伝のくだり。私が昔、初めて『無能の人』を読んだ10代の頃には「本当にこんな人いたのかな?作り話?」と思っていたが、今や岩波文庫に『井月句集』があり、伝記も増えた。つげ義春と『無能の人』のおかげだろうな。2022/01/11
neimu
72
図書館本。題名と表紙に引かれて手にしたが、私より上の世代の人々のノスタルジーをそそる内容が多いように思われる。表紙の諸星大二郎の作品以外、全く知らない作品ばかりだった。知っている名前もあるが、貸本時代やアニメ作家、劇画家に詳しいわけではないので、マニアックな内容だと言える。筑摩は編集に漫画文化の歴史を残そうとする姿勢が見られるが、個人で買い揃えるとなると、少し厳しいかなあ。著名作家の作品だけならいざ知らず、一読でいいやと思えるものもあるわけだし。2022/09/13
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