出版社内容情報
政治的に正しくなく、安っぽいショックの中にこそ救いとなる表現がある。映画に「絶望と恐怖」という友人を見出すための案内書。解説 田野辺尚人
内容説明
映画の世界には、政治的に正しくなく、安っぽいショックに満ち、度を超した暴力と破壊を描き、だからこそ救いになる表現が生き残っている。ヤコペッティのドキュメンタリーから、『ロッキー・ホラー・ショー』、スピルバーグから『エクソシスト』まで、呪詛とエンターテイメント精神で語りつくす。映画の中に「絶望と恐怖」という友人を見出すための案内書。
目次
第1章 この野蛮なる世界(犬の世界;ヤコペッティ インタビュー;モンド映画と『ザ・コーヴ』 ほか)
第2章 ポップ・アンド・バイオレンス(ジョエル・シュマッカー インタビュー;『エンジェル ウォーズ』;わがこころのテキサス ほか)
第3章 不健康な精神(『パッション』は『ヘルレイザー』だ;『サウスパーク』と『パッション』;最終報告『エクソシスト』 ほか)
著者等紹介
高橋ヨシキ[タカハシヨシキ]
1969年生まれ。映画ライター、アートディレクター、デザイナー、サタニスト。雑誌『映画秘宝』(双葉社)でアートディレクター、ライターを務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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ますりん
4
秘宝で活躍中(騒動後どうなったのかは知らないけど)の著者の2013年の本。読まなきゃと思いつつも放置してて、かれこれもう8年前の本なのね。。。。 残酷描写に迸る情熱。ヤコペッティからインタビューを取るという凄腕。この手のはなんだかんだでなかなか観ていない作品が多いので参考になる。 目からウロコはチャールズ・マンソンのくだりで、ケネス・アンガーも関与してたチャーチ・オブ・サタンには、実はポランスキーと、シャロン・テート殺害事件のスーザンが共に参加していたという話。全く接点がなかったって思っていました...2021/04/09
takeのすけ
4
映画雑誌“映画秘宝”2001年~2013年ごろの著者の記事を本にしたものみたいです。今の感覚だと露悪的だったり、ポリコレをくさすようなところがあったりして意外でした。やっぱり時代と共に著者も変化しているんだな、と。私は「人類愚行の映画史」って記事が面白かったです。2021/04/07
活字@れつだん先生
1
めちゃくちゃ面白くてあっという間に読み終えた。高橋ヨシキの本はハズレなしだな。素晴らしかった。2024/04/23
Gen Kato
1
ヤコペッティ、確信犯というか、「ノンフィクション」映像とはなにか、根本的な考え方の問題なんだな。『ロッキー・ホラー・ショー』、友人とのビデオ鑑賞では観たうちに入らないんだな。コロンバイン事件も理解が浅かったなあ。いろいろ気づかされた一冊。2022/05/10
ソドシラソ
1
人類は歴史とともに進歩し続けてきたのだと信じてやまない人は多いだろう。だが根源的な野蛮さ・愚かしさはいつの時代も人間の魂の底に密かに、しかし確実に存在している。本文で頻出するポリティカルコレクトネス的な発言は昨今ますます勢いを増し、今日もSNS上では慇懃無礼な野蛮さが飛び交っている。だからこそわれわれは圧倒的に「正しくない」映画と出会うことで、己が内に秘めたる野蛮さと対峙しなければならない。(1/2)2021/05/12