ちくま新書<br> 日本の「ミドルパワー」外交―戦後日本の選択と構想

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日本の「ミドルパワー」外交―戦後日本の選択と構想

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  • サイズ 新書判/ページ数 236p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480062352
  • NDC分類 319.1
  • Cコード C0231

内容説明

戦後の日本外交は、憲法九条を維持したまま日米安保条約を結ぶという吉田茂の「中庸」の選択によって規定されてきた。しかしこの外交路線は左右両政治勢力から攻撃され、「平和国家日本」と「大国日本」という国家像の分裂をもたらし、時にそれが日本外交の足枷となってきた。本書は吉田路線の上を歩んできた戦後日本外交の主体性を「ミドルパワー外交」の視座から掘りおこす。ミドルパワー外交とは、大国との全面的対立を放棄しつつ、紛争防止や多国間協力などに力点をおく外交である。国際政治および戦後日本外交への深い洞察によって導き出された、等身大の日本外交を考えるための必読書。

目次

序章 なぜミドルパワー外交か
第1章 戦後日本の再生―吉田路線の深層
第2章 高度成長期の葛藤―吉田ドクトリン再考
第3章 デタント期の日本外交―米中ソ戦略ゲームのはざまで
第4章 非核中級国家論の実践―中曽根外交の実像
第5章 国際安全保障の模索―冷戦後の日本外交
終章 ミドルパワー外交の構想

著者等紹介

添谷芳秀[ソエヤヨシヒデ]
1955年生まれ。慶応義塾大学法学部教授。上智大学大学院国際関係論専攻博士前期課程を修了し、米国ミシンガン大学大学院にて政治学博士号(Ph.D.)取得。上智大学国際関係研究所助手、慶応義塾大学専任講師、同助教授などを経て、1995年より現職。国際政治学、および日本外国を中心としたアジア太平洋の国際関係が専門
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kk

12
冷戦前の理想に立脚した憲法と、冷戦後の現実に基づく安保条約。このギャップの中、大国間パワーゲームを下りて日米関係基軸の外交路線を選んだ日本。結果としてもたらされた、平和国家への希求と大国復帰への欲求とに分裂した国民意識が、外交政策上の桎梏となってきたという議論。その上で、冷戦後の国際安保への参画、日米安保関係の再定義、国防意識の覚醒により、戦後の「二重アイデンティティ」が中級国家としての外交政策に昇華しつつあるとする。鳥瞰的な視線で戦後日本外交の本質に迫ろうとする大胆な一冊。kk、殊の外感心。2022/08/05

ふね

7
秋から添谷先生の講義を受けることになった縁で読んでみた。日本の外交史から理解できるように説明されていたので、日本史に疎い私にも無理なく理解できた…と思う。確かに昨今の改憲論議は「押しつけ憲法」への不満、隣国への対抗意識がベースにあり、未来志向の論議はされていないように感じる。日本のあるべき姿を見定めてから改憲論に踏み入るべき。大国との差異を認識したうえでのミドルパワー外交という考え方も頷けた。あとは講義を通して理解を深めたい。2014/10/18

ceskepivo

4
「単独でアメリカや中国と[同次元の大国間権力政治に加わる選択肢をもたない日本にとって、大国日本に対する不信感が付きまとう限り、正当な主体的要求も、結局はアメリカの意思のなかに閉じ込めれれてしまう」というのは、悲しいけれども正しい。2015/10/10

スズツキ

3
ターニングポイントを迎える現代日本を論じるうえでひとつの目安になるのではなかろうか。2015/02/21

ワッキー提督

1
戦後日本の外交の体系化の過程を丹念に描写し、そこから導かれる今後の日本の立場として「ミドルパワー外交」を提唱している。非常に体系的な議論である一方、「ミドルパワー外交」について他国との比較や詳細な方法論は不足を感じた。さらに2005年に著者が立てたこの議論が、2016年に出た著作においてどう変化しているかを比較することは有意義である。著者の体系と環境の変化から導かれる新たな理解と「答え」が見えてくる。2016/09/12

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