出版社内容情報
子は親が好きだからこそ「心の病」になり、親を救おうとしている。精神科医である著者が説く、親子という「生きづらさ」の原点とその解決。
内容説明
著者は「引きこもり」や「拒食症」で悩む多くの子どもたちに向き合い、心の声に耳を傾けてきた。どの子も親が大好きで、「自分が役に立っているだろうか」「必要とされているだろうか」と考えている。しかし思春期になり、親から逃れようとする心と、従おうとする心の葛藤に悩み「心の病」になってしまう。真の解決は、親が子を救い出すのではなく、子に親が救われるのだと分かった時に訪れる。
目次
プロローグ 心の「宇宙期」
第1章 息子は親を救うために引きこもった
第2章 娘の摂食障害が、母親の人生を回復させた
第3章 虐待されて育った子は「善と悪が逆」になっている
第4章 親とのつながりを持てなかった子の不思議な訴え
第5章 心の発達段階の最後、「宇宙期」とは何か
著者等紹介
高橋和巳[タカハシカズミ]
精神科医。医学博士。1953年生まれ。福島医科大学卒業後、東京医科歯科大学の神経精神科に入局。都立松沢病院精神科医長を退職後は都内でクリニックを開業し、診療を続けている。またカウンセラーの教育にも熱心で、スーパーヴィジョンを行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コウメ
71
様々な親子関係が描かれており、まだ学生の子供がいる親であったり1度社会に出て家に引きこもりになってしまった子であったり虐待を受け育った子であったりたくさんの子が登場する。/「心の宇宙期」❶乳幼児期❷学童期❸思春期❹成人期4つの発達段階はすべて親との関係を軸に展開する。社会からの影響やその時代の思想も大きな影響を与えるが成人期になるまでは親の心を通して子供に加わる。2019/10/14
香菜子(かなこ・Kanako)
42
子は親を救うために「心の病」になる。高橋和己先生の著書。子供は心の病や精神疾患にかかるのは自分の身を守るためではなく親を救うため。非常識な親、愛情不足な親、過干渉な毒親に苦労して悩んでいる子供たちは少なくないと思います。すべての子供たちが幸せに前向きに生きられるような社会であってほしい。2018/10/24
saga
42
書名は逆説的だが、本書を読むと確かに親の抑圧した心を映す鏡のように子が心の病になるという主張に肯ける。中二の子を持つ親として参考になることが多いが、思春期の事例は少なく残念。本書で紹介されているケースはカウンセリング成功例であり、同じやり方でいつも成功するとは限らないことも考慮しなくてはならないだろう。人は虚空から生まれ、虚空へ帰るという宗教的な解釈からの治療も、精神医学では「有」かも知れない。2014/11/15
のぶのぶ
36
今年最後にすごい本を読了した。親の生き方をなぞり、子供の問題ではなく、親の問題である。本来は、親が子に生き方を教えていくが、子が親に生き方を振り返させる。今までの我慢や満たされなかったことを開放していく。虐待の場合は、善悪が反対になってしまい、我慢が善になり、善が悪になっている。こちらも親子の関係があるからまだ良い。親からの生き方、我慢を開放する必要がある。まだ解決法がある。親子の関係がなかった人は、生き方の土台がない。普通の関わりがある人から見ると理解不能、解決法もない。仕事柄、思い浮かべながら読む。2021/12/31
ロア
34
再読。第四章に出てくる皆と同じく、普通の人になるため努力して頑張ってきた。普通はこう考えるのか!普通はこう行動するのか!と、周囲を観察し学んできた。が、そもそも普通の人はそんな事しないし、そういう努力をすること自体もう全然普通じゃないよという一言で、ああ確かに。。。こんな終わりの見えないことするのもう疲れた。普通になる為に頑張るのはもうやめよう、となって今に至る。ただ、読メのレビューを読むにあたっては、みんなはここで感動するのか‼普通はこんな感想を持つのか‼と、驚いたり落ち込んだり(苦笑)2015/12/21