出版社内容情報
泥鰌が豆腐に潜り込むあの料理「泥鰌地獄」は実在するのか? 「龍虎鳳」なるオソロシげな料理の材料とは? 文庫書き下ろし、至高の食エッセイ。
内容説明
「豆腐の入った鍋に生きた泥鰌を入れて煮る。ところが出来あがった鍋には泥鰌の姿は見えず…」―著名なるかの「泥鰌地獄」は実在するのか?「龍虎鳳」なるオソロシげな料理の材料とは?スープばかりで構成される究極のコース「水席」の味は?―古今の書物をあまねく渉猟し天下の珍味佳肴を食べつくす。書き下ろし多数を含む文庫オリジナルでお送りする至高の食エッセイ。
目次
泥鰌地獄の謎
龍虎鳳
叫化鶏
魚と羊
ゆうれいめし
唐墨
青魚
魚肚
泥鰌ばなし
チョウザメ
甑〓(こう)
洛陽水席
上海万博食べ物日記
著者等紹介
南條竹則[ナンジョウタケノリ]
1958年東京生まれ。作家。翻訳家。1993年『酒仙』で第五回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
36
中国の料理に関する薀蓄あれこれ。名のみ高くて実物には出会った事のない料理「泥鰌地獄」が中国から伝わったものだとか、猫と蛇と鶏のスープ「龍虎鳳」、「唐墨」にスープのみの宴席「洛陽水席」とほとんど聞いたことのない珍味奇味のオンパレード。ただ、出てくるメニュー名がオール漢文なので、なんとなく意味は取れるが料理のイメージが出てきにくい。それにしても流石は机以外はなんでも食べるという中国、日本では考えられない取り合わせや食材が多々あるなあ。2013/11/13
ようはん
16
著者が実際に食べた中華料理が数多く紹介されているがとにかく使われる食材が豊富。タイトルの龍虎鳳は料理の1メニューで龍が具材に使用する蛇を指し鳳が鶏は分かるが虎が猫であり割と中華料理の具材として使用されており、中国人は4本足の物は椅子とテーブル以外はなんでも食べるという言葉通りである。2022/01/13
三柴ゆよし
7
主に中国料理に関する薀蓄を披露しただけの本だが、後半に至ると作者が単にごはんを食べて「うまい」あるいは「うまくない」と言うだけの書物と化す。泥鰌つながりで、岡本かの子の「家霊」を読み返す。そういえば金沢で入った居酒屋では泥鰌の串焼きを供していたが、これは食べずに済ませてしまったので、今となっては悔やまれる。タイトルにもなっている龍虎鳳(蛇と猫と鶏で作った鍋物)については、中国の学生に聞いてみたところ、今でも広州あたりでは食べられているらしい。冬に食べるといいのだとか。いずれ食べなければならない。2013/11/24
ほーすけ
6
泥鰌を最後に食べたのはいつだったろうか?昔は家庭でもよく食されていたのだろうが今は見かけない。そんな事を考えながら読んだ。「泥鰌地獄」とは生きた泥鰌を豆腐に一緒にいれて煮ると、苦しくなった泥鰌が豆腐にもぐりこんで旨い豆腐料理になるという代物だが、実際に作った例がなく「幻の料理」として伝説になっている。この話の出所を日本文学者たちの実験話や中国の故事や三国志もまな板にのっての文献話、果ては中国での料理探しへと続き興味深い。とにかく話だけで満腹になってしまうが、食文化の好奇心は国を簡単に超えてしまうのだな。2013/12/02
Susumu Kobayashi
4
中華料理に関する蘊蓄いっぱいの本で、文庫書き下ろしとのこと。著者は展覧会関係の仕事をしていた父親の代わりに来日外国人の相手をして、或る時、お気に入りの浅草の泥鰌屋へ招待したという。「以来、この美術館の職員の間で、南條某の東京案内といえば語り草となり、今でもたまに誰かが仕事で東京にやって来ると、わたしの案内に決死の覚悟でついて来る」(p. 144)というのに笑ってしまった。2020/03/07