出版社内容情報
独裁者の島に派遣された薬理学者フォックス。秘密警察が跳梁し、魔術が信仰される島で陰謀に巻き込まれ……。幻の小説、復刊。
内容説明
医薬品会社の実験薬理学者フォックス。カリブ海の島に派遣されるが、そこは魔術を信仰する島民を独裁者が支配し、秘密警察の跳梁する島だった―。陰謀に巻き込まれ、人体実験に加担させられるフォックス。だが事態は大きく変転する。囚人との逃亡、クーデター、そして…。果たしてフォックスを嵌めた犯人は?幻の小説、復刊。
著者等紹介
ディキンスン,ピーター[ディキンスン,ピーター] [Dickinson,Peter]
1927年アフリカ北ローデシア(現ザンビア)生まれ。7歳でイギリスに帰国。イートン校を経てケンブリッジ大学キングズ・カレッジを卒業。『パンチ』誌の編集に携わりながら執筆活動を始め、1968年に発表した最初の長篇『ガラス箱の蟻』でゴールド・ダガー賞を受賞した
神鳥統夫[カンドリノブオ]
1931‐2007。東京大学経済学部卒業。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 4件/全4件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
44
恋人に「生ける屍」とまで称された、実務に忠実なサラリーマン、フォックス。彼は自分を取り巻く環境に適応していくかと思えば、反逆する。だが、そこに彼の意志は果たしてあったのだろうか?その意志に環境などの影響はないのだろうか?精神に影響を及ぼす科学と魔術との認識の融合によって起こる、自分が自分で無くなったような眩惑。その眩惑が現実となるような「生ける屍」の存在。主人公の感情を一瞬、揺さぶる実験対象の鼠のクエンティの存在感が淡々とした物語で異色です。2013/07/31
HANA
41
まさかの復刊。なんとなくサンリオの表紙と邦題からもう少しおどろおどろしい話を想像していたのだが、ストーリー自体は独裁国家、魔術、人体実験と派手になる要素満載な割には意外と、というかとことん地味だった。やはり訳文からそう感じるのだろうか。個人的にはこういう地味さ嫌いじゃないけど。カリブの独裁国家と魔術が主な主題になっているけど、そこから予想されるゾンビも魔術も本来の意味のゾンビや魔術であった。ただそれらに対するあちらとこちらの価値観の対比がこの小説を楽しめるかのポイントになるのではないかと思ったりした。2013/07/03
志ん魚
19
とある島国の呪術的社会を舞台に、陰謀あり、謎解きあり、活劇ありで、かなり映画向きな感じ。濃厚な題材や設定のわりに、ハードボイルドともノワールとも違う独特のドライな味わいが特徴的で、いかにも70年代な空気感が味わえる。解説で佐野史郎がキューブリックかデヴィッド・リンチが撮ったら〜などと書いているが、ここは呪術押しで来そうなリンチではなく、キューブリックの乾いた映像のほうが観てみたい。というわけで、普通に面白いのだが、万単位のプレミアについては、ちょっと?という感じ。2013/07/31
うさっち
17
ビブリア古書堂~で取り上げられた入手困難と言われ、古書では高額取引される本の復刻版で期待して読んでみました。…が、製薬会社で働く研究者がとある島に派遣され事件に巻き込まれる話で科学、独裁政治、魔術…と前半くらいまではなんとかついていけたけど、中盤あたりから訳が分からないまま読了。私には向いてないことがわかり残念。2016/03/29
スカラベ
13
『たんぽぽ娘』と並ぶ絶版本、待望の復刊ということで購入。全く白紙の状態から読み始めたこともあるのか、なかなかすらすらとは読めない。翻訳の文章も直訳っぽくこれに対抗しながら集中力を高めて読み続けていくと、ちょっと奇抜で面白い展開になっていく。物語は、カリブ海のある一族が支配する島で、魔術、政治犯、人体実験、革命などがキーワードになり、特異な舞台設定で話がすすんでいく。一応、最後に謎解きもあってミステリの要素もあるがそれほどのものでもなかったかな。ちょっと穿った見方をすれば、魔術と科学の対立も見えてきそう。2013/07/13
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