出版社内容情報
アメリカ'60年代対抗文化の生んだ文学者の代表的詩集。結晶化した言葉を、訳者ならではの絶好の名訳でお届けする。心優しい抒情に満ちた世界。
内容説明
アメリカ’60年代カウンターカルチャーの生んだ文学者、ブローティガンの代表的詩集。俳句のように結晶化した詩60篇を、この訳者ならではの名訳でお届けする。物質文明への批評性を持ちながら、ユーモアと心優しい抒情に満ちた、その世界。時代を超えて愛読されてきた不朽の作品。文庫化にあたり原文を加えた。
目次
彼女は決して腕時計をはずさないの詩
ボート
私立探偵印レタス
宿業修理キット 一項から四項まで
オレンジ
ゼロックス・キャンディー
サンフランシスコ
ざくろサーカス
ポトレロ・ヒルののんべえたち
冬の最初の雪〔ほか〕
著者等紹介
ブローティガン,リチャード[ブローティガン,リチャード][Brautigan,Richard]
1935‐84年。アメリカ、ワシントン州出身。作家、詩人
池澤夏樹[イケザワナツキ]
1945年生まれ。小説家、詩人、翻訳家。主な著書に、『スティル・ライフ』(芥川賞、中央会論新人賞)、『母なる自然のおっぱい』(読売文学賞)、『マシアス・ギリの失脚』(谷崎潤一郎賞)、『すばらしい新世界』(芸術選奨)、『世界文学全集』(河出書房新社)編纂(毎日出版文化賞受賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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えりか
36
やさしい、ロマンチック、あたたかい、かわいい、クスリとさせる、ちょっとえっち、まるっこい、かなしい、繊細、孤独、そして再びやさしい。それを合わせたのが「ブローティガン」だと思う。彼の言葉の一つ一つが、疲れている心をそっとなでてくれる。「your rose-meow smile」(バラ色のニャーオ笑い)なんて言われたら、なんだか照れちゃうけれど、そんなふうに想ってるなんて、なんて可愛らしくて、幸せなことなんだろう。もうなんか抱きしめてあげたいし、抱きしめられたい。そして一緒に「ビューティフルな詩」をよもう。2016/02/02
三柴ゆよし
19
ブローティガンはやさしすぎた詩人である。池澤夏樹が言うように、「身近にいるみんなに同情と親愛と、おそらく最終的には愛を、与えたくてしかたがない」詩人である。彼のやさしさは、恋人や、専門的アル中たちだけでなく、あまりに日常的で卑近な事物、そのため、詩の地平からは脱落していかざるを得ない事物(キャベツ、便器、ハンバーガー・スタンド……)の上にあまねくそそがれ、ミニマムで愛らしい、それでいてどこかに孤独をふくんだ世界を創り出す。詩を読むのは得意ではないが(そもそも得手不得手があるのか)、これは抜群によかった。2011/12/30
nemuro
12
図書館の書棚で見かけ、タイトルといい装丁といい、カッコ良い本だと思いました。「一九七七年の訳者あとがき」「一九九〇年の訳者あとがき」「二〇一一年の訳者あとがき、並びにある友人の思い出」と、訳者・池澤夏樹による「あとがき」が3つ。これがまた面白い。英語の原文も表記されていて、文字から受ける、作者の思い描くイメージも感じることができました。で、60篇の中で好きなのは『十一月三日』。私の中ではダントツです。2011/06/19
樽
6
そもそもブローティガンの小説が詩みたいだから、違和感ない。最近読んだブコウスキーやカーヴァーも、小説と詩は似ている。翻訳でも、作家ごとの特徴ってわかるものなんだなぁと思ったり。2024/11/22
かみしの
5
ブローティガンは日本人の感性にあっているのだと思う。「オレンジ」「宿業修理キット」「ゼロックス・キャンディー」「寡婦の嘆き」「愛の詩」「べえー、永遠に」が特に印象に残った。「寡婦の嘆き」は明らかに俳句的な詩。「俳句救急車」という詩もあるし、影響が伺える。あくまで個人的意見だけれど、「こんなに優しくやってもらったことはなかった」「ピル対スプリングヒル鉱山の落盤」からは、それぞれクリープハイプ臭とRAD臭を感じた。ブローティガンはやっぱり詩人だ。2014/08/13