出版社内容情報
江戸の風呂屋に抱えられた娼婦たちを描く一枚のミステリアスな絵。失われた半分には何が描かれていたのか。謎に迫り、日本美術の読み解き方を学ぶ。
佐藤 康宏[サトウ ヤスヒロ]
内容説明
湯女―風呂屋に召し抱えられ、客の垢をかき、戯れながら世間話をし、ときには売春も行なった女たち。吉原の遊女の地位を一時は脅かすほどに、江戸の町を賑わせた彼女らを描いた一枚の絵がある。作者不明、来歴未詳のその絵にはどんな謎が秘められているのか?いまは失われた、視線の先に描かれていたものとはいったい何か?誰が、なぜこんな絵を描いたのか?浮世絵が花開き、女の絵姿が男たちの欲望を満たすようになる直前に描かれた、謎めいた絵画を分析し、復原し、甦らせる。約60点の図版を駆使し、従来の解釈を覆す画期的な視点を提示した快著。待望の文庫化。
目次
序 彼女らはどこから来たか。彼女らは何者か。彼女らはどこへ行くのか。
1 湯女図が湯女図であること
2 分析と復原
3 どんな画家が描いたのか
4 歴史の中の湯女たち
5 歩み去る者、見返す者
湯女風呂関係史料
著者等紹介
佐藤康宏[サトウヤスヒロ]
1955年生まれ。美術史学者。東京国立博物館学芸部資料課文部技官、文化庁文化財保護部美術工芸課文化財調査官を歴任し、現在東京大学教授。室町時代から江戸時代初期にかけての風俗画や、若冲・蕭白と南画を中心とする江戸時代絵画を専門とする。絵画に隠された意味の構造を読み解き、美術作品と社会状況との関連を追う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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