出版社内容情報
『小倉百人一首』の選者としても有名な藤原定家自作の和歌四千六百余首を収録。上巻には私家集『拾遺愚草』を収め、全歌に現代語訳と注を付す。
内容説明
こまとめて袖うちはらふかげもなし佐野のわたりの雪の夕暮―。『新古今和歌集』『百人一首』の撰者でもあり、日本和歌史上に聳立する不世出の歌人・藤原定家の自作歌は、現在知られている限り約4260首にのぼる。上巻には『拾遺愚草』正篇の全歌2791首を収録、すべてに現代語訳を付す。中世文学研究の泰斗による校訂を行い、和歌に関心のある読者のみならず、学術的利用にも資するよう編纂された決定版。
目次
拾遺愚草 上(初学百首;二見浦百首 ほか)
拾遺愚草 中(韻歌百廿八首和歌;仁和寺宮五十首 ほか)
拾遺愚草 下(春;夏 ほか)
雑(旅;述懐 ほか)
著者等紹介
藤原定家[フジワラテイカ]
応保2年(1162)、藤原俊成と美福門院加賀の間に生まれる。治承4年19歳で叙爵し、翌年「初学百首」を詠む。妖艶華麗な歌風や独特の書風は後世の歌人・文人に大きな影響を与えた。日記『明月記』(国宝)や歌論『近代秀歌』などの著書も名高い。仁治2年(1241)没
久保田淳[クボタジュン]
1933年、東京生まれ。東京大学文学部卒業。東京大学名誉教授、日本学士院会員。専攻は中世日本文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ロビン
20
一年以上毎日2ページずつ読み進め、ようやく上巻を読了した。言うまでもないことだが定家さんの歌は掛詞や縁語、本歌取りなどの該博な知識に基づいて技巧を凝らしており、優美かつ繊細な硝子細工のようで、着想やイメージも素晴らしいものが多い。春夏秋冬の季節を詠んだ歌、花鳥風月を詠んだ歌、忍ぶ恋や待つ恋など恋愛の歌、法華経の経典をテーマにした歌、帝の御代を寿ぐ歌、旅先で景色を詠んだ歌、死者を悼む歌、昇進できないのを嘆く歌、昇進を喜ぶ歌、老いを見つめる歌など様々な歌が収められている。心血を注いだ歌の花々の百花繚乱を見よ。2020/05/17
LUNE MER
11
心酔する定家の全集である。ベスト盤ではないので、当然収録されている和歌の出来不出来や作風にもある程度幅があり、ひたすら定家を堪能できる。新古今とか読んでるとついつい贔屓目にどの歌も高評価してしまうのだけど、本全集は定家100%なので純粋に定家の中での好き嫌いを味わい尽くせる。勅撰和歌集に選出されていない歌の中でも立ち止まって何度も復唱してしまう歌あり、源氏読んだお陰で「これ源氏にインスパイアされてる?きっとそう♫」という楽しみ方も出来る様になったり、まだ下巻もあるけど💦やはり定家はいい✨2020/05/19
すいれん
2
待望の文庫化!ずっと絶版で図書館で借りてたからあまりに嬉しくてもう1冊ずつ購入。1冊は手持ち用、もう1冊は本棚に鎮座用。 右のページに和歌、左のページに訳や注釈。巻末に補注。上巻は拾遺愚草(上中下)2791首。岩波文庫の藤原定家全歌集を外出用本にしてたから、本歌や訳注が一気に読めるのが幸せすぎる。ちょっと重たいけど、携帯できる喜びにくらべたら! それにしても定家、◯◯百首好きだよなぁ。初学、花月、内裏等々。アンソロジー編むの得意なの、よく分かる(笑)隙がない。2018/08/29