出版社内容情報
群・環・体など代数の基本概念の構造を、構造主義の歴史をおりまぜつつ、卓抜な比喩とていねいな計算で確かめていく抽象代数学入門。
内容説明
よく似たしくみをもつもの同士を同じものと見なす「パターン認識」。それは数学的な構造としては20世紀に深化発展した。数や多項式、関数などから、群・環・体などの有用な構造が取り出された。本書は抽象代数の基本概念を、歴史的背景をおりまぜつつ、ていねいな叙述でひもとく。随所に登場する卓抜な比喩は理解を助け、ガロア理論の意味まで望見させる。「体Σ/Kは地上に生えている大木に似ている。…基礎体は木の根に当たる。ガロア群は木を揺さぶる外からの力に比べられる」「秘密を探るのに、まずそれを揺さぶってみる…ここにガロアの理論のもつ射程の大きさがある」と。
目次
第1章 構造とはなにか
第2章 数学的構造
第3章 群
第4章 環と体
第5章 ガロアの理論
第6章 構造主義
著者等紹介
遠山啓[トオヤマヒラク]
1909‐1979年。熊本県生まれ。東京大学数学科に入学するも退学、のち東北大学数学科を卒業。海軍教授をへて東京工業大学教授。数学教育への関心から民間教育団体「数学教育協議会」を結成、長く委員長をつとめた。数学教育の理論と方法を開発・提唱し、その水道方式、量の理論などは、教育現場に大きな影響を与えた。教科書や雑誌の創刊にも多く関わった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
中年サラリーマン
10
群、環、体を題材にした数学本です。2014/02/26
ヒダン
5
第1章・第2章で数学的構造とは何かが解説し、残りの章は群論、環論及びガロア理論についてのテキストになっている。テキストの部分は具体例が多く親切ではあるが標準的な内容である。しかし、この本の前半で数学的構造についての話は非常に面白かった。数学の起源はパターン認識能力にあるという仮説、数学的構造の説明を読んで代数学が何を目指しているのかぼんやりと輪郭がつかめた気がします。2013/01/28
しゃもじ
2
代数的「構造」、について、著者の捉えた本質が平易な文章で語られる。 遠山 啓先生の人柄が偲ばれる良い本です。勉強になりました。2012/09/19
nagata
1
たす、ひくなどの演算でつながる数字が、各々構造をもつという話。体>環>群ということになっているらしいが、膨大な計算に裏打ちされた代数的構造までは読み解くことができずじまい。再度チャレンジするのはいつの日か。2016/07/02
disktnk
0
事物の構造を数学的に捉えることから数学自身の構造を考えることへとつなげる.“同型の模様とは”といった具体例から写像を説明し,群環体へと広げ,最終的にはガロア群の話へとつなげていく構成.群環体とガロア理論をコンパクトに解説した本.ただしガロア理論はエッセンスを凝縮したような内容で,これでガロア理論を理解できるかというと難しいと思う. 2012/10/06
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