ちくま学芸文庫<br> ノアノア

ちくま学芸文庫
ノアノア

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  • サイズ 文庫判/ページ数 218p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480085191
  • NDC分類 297.5
  • Cコード C0198

内容説明

ノアノア、それはかぐわしき匂い。「幸福は太陽とともに、太陽のように照り渡りながら、起き上がった。テウラのかんばせの金色が、住まいの内と、まわりの風景とを喜びと輝きで満たしていた。…楽園で最初の男と女もおそらくこんな風だったろう(本文より)」。「原始」「野蛮」ということばのなかに夢想と思念と自由な感受性のすべてを畳み込み、そこから革命的な創造を実現しようとした画家ゴーギャン。現地での妻テウラとの愛の日々、漁、儀式、神と自然とじかに触れる感動をおりまぜつつ綴られるタヒチ滞在記。

目次

ノアノア―タヒチ滞在記
『ノアノア』草稿(ピエール・プチ校訂テクスト)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ユカ

44
仕事で大きな壁にぶつかり、動揺し悩んでいたときに、信頼している上司がそっと差し出してくださった本です。タイトルの「ノア ノア」をよく考えて、と。この言葉の意味だけなら、いい匂い。かぐわしい香り。うーん。わたしは、周りの自然や他者のノアノアを感じる能力も、自分のノアノアを自然に匂わせる能力も、ほぼ失った状態で過ごして久しい。無意識なのか幼いながらの勘なのか、物心つく頃に封印してしまったかもしれない。また思い出したいな。自分を生き物としてみれば、ばかばかしいこと、大事なことがみえてくるかもしれない。2014/08/07

翔亀

41
【タヒチ3】ゴーギャンによるタヒチ滞在記。ゴーギャンは筆が立ち、タヒチでの晩年は個人誌の新聞を発行し、新聞社に迎えられ植民地支配を批判する記事を書いていたという。父親が新聞記者、母方の祖母が有名な社会主義運動家(フローラ)であったことも関係するかもしれないが、論争好きで自分の主張をストレートに出さざるを得なかったのだろう。このタヒチ滞在記は、自分のタヒチの絵がフランスで受け入れられなかったため、理解を促すために書いたと自ら語っているようだ。当時タヒチはすでにフランスの植民地として文明化されていて、↓2021/03/15

なる

34
画家ポール・ゴーギャンといえば、タヒチへ訪れた時にその原始的な生活に大いに共感し、その影響を受けた画風の作品を発表することで新たな表現方法を切り開いたポスト印象派の人物として知られている。そのタヒチ滞在についての虚実ないまぜにした記録である本書のタイトルは「かぐわしい香り」という意味で、なるほど南国の花の匂い…いやいや、したり顔で客観的に分析するスタンスを取ってるつもりが未開の島を見下してる西欧人の悪徳の匂いがプンプンしますぜ、主人。なんといっても自分の娘より幼い現地の娘を愛人にするとか突き抜けてますね。2022/07/13

春ドーナツ

14
サマセット・モーム氏の最初に読んだ小説が「月と六ペンス」でした。同作は画家ポール・ゴーギャンがモデルになっています。まさか、ゴーギャン自身によるタヒチ滞在記があったとは! 「ノア ノア」はタヒチ語で「心地よい匂い、香水」という名詞にも、「よい匂いのする、香しい」という形容詞にもなるそうです。なんてリリカル( lyrical*叙情詩的)な文体なのだろう。芸術家はやっぱり違うなあと思ったら、画家の草稿を元に象徴派の詩人シャルル・モリス氏がリライトしたものだったようです。本書では「草稿」も併録されています。2017/10/02

ネロリ

11
文明、とりわけ拝金主義の蔓延るヨーロッパ的なものに辟易したゴーギャンが、“野蛮人”となるべくタヒチの奥へ奥へと進む。現地で幼い妻と暮らし、自然から与えられるものを摂り、絵を描く。何をもって野蛮人かというのは、ゴーギャンのみぞ知るだが、土地の神話から歴史的背景を読み解かずにいられないのは、文明人だろうと言いたくなる。“ノアノア”、香しさは、ゴーギャンの幻想の中にあるみたいだ。2013/02/11

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