内容説明
「はかなし」という王朝的情緒が、中世において「無常」に移行し、道元の無常の形而上学にいたる経過を、犀利な観察と豊かな情感をもって詳細にたどり、日本人の無常感の変遷過程を初めて体系化する。著者の到達点を示す卓異の論考。
目次
はかなし(序;「はかなし」という言葉;かげろふの日記;紫式部日記 ほか)
無常(さまざまな発心―法然の特殊性;浄土と穢土―恵心・法然・親鸞;死と詩―一遍の称名 ほか)
無常の形而上学―道元
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
聲
1
難しい内容だけれど、ちゃんとひとつひとつ読んでいくと非常にわかりやすいし、そしてなによりちゃんと読ませてくれる。旧仮名遣いが苦にならないほど。著者の文章構成力はすごいと思う。無常に救われる。無常は今を生きるのに必要な考えだ。2023/06/20
Sin'iti Yamaguti
0
「はかなし」から「無常感」「無常観」へ、平安から中世にかけての文芸・思想の歴史を、代表的女流歌人から、法然・親鸞・一遍・道元らの宗教者、さらに芭蕉にいたるまで、唐木順三ならではの言語感覚の鋭さが解き明かしていく。最後の「無常の形而上学」はかなりむずかしい。古文・漢文が自由に読めることも必要だが、道元その人が難解だ。私が思うには、道元はその究極において親鸞に近いように思う。2024/01/13
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