感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まりん
1
『グリム童話〜子供に聞かせてよいか〜』の内容をベースに、神話や英雄伝説、リルケやカフカなど様々な文学と比較することで、グリム童話を構造的、機能的にバラバラにする。筆者は昔話を、神話から宗教色を抜いて文学的にしたものと定義するが、それに疑問を持った。昔話は理不尽な現実から逃避する機能の為非現実的で、時間の流れが無く、登場人物に人格が置かれていない。対する神話はそれと真逆である。人物をより感情的に描く作品の方が文学的ではないのか。諸学者の理論を解説する本書は興味深いが、論理に矛盾などを感じてしまう。2017/06/16
hanako
1
童話研究から出発して、KHMのみでなく広義の「文学」について語る。神話や宗教についてまで話が広がり、人間存在と物語ることについて深淵を覗く試みがなされる。気づけば読み進めながらメモまでとっていた。研究室の先生から借りて返すまで四カ月かけてしまったことがかなり後悔。2010/12/03