出版社内容情報
点滴は血を薄めるだけ、消毒は傷の治りを遅くする、抗がん剤ではがんは治らない……。日本医療を覆う、根拠のない幻想の実態に迫る!
内容説明
日本医療の実態とは、どのようなものなのか?「点滴は血液を薄めるだけ」「消毒は傷の治りを遅くする」「抗がん剤ではがんは治らない」「健康診断に熱心な人ほど早死にする」…。本書は、こうした驚くべき実態に迫り、医者と患者の間にある壁の正体を明るみにする。医師会・厚労省・マスメディアなどの生み出す幻想の実態を晒すことから、これからの日本医療のあり方を問いなおす。ベストセラー作家でもある医師による、渾身の日本医療論。
目次
第1章 薬は効くという幻想
第2章 名医幻想
第3章 診断幻想
第4章 厚労省が増進する幻想
第5章 高齢者の医療幻想
第6章 医師不足幻想
第7章 マスメディアが拡げる幻想
第8章 病院へ行けば安心という幻想
著者等紹介
久坂部羊[クサカベヨウ]
1955年生まれ。小説家・医師。大阪府生まれ。大阪大学医学部卒業。大阪大学医学部付属病院にて外科および麻酔科を研修。その後、大阪府立成人病センターで麻酔科、神戸掖済会病院で一般外科、在外公館で医務官として勤務。同人誌「VIKING」での活動を経て、『廃用身』(2003年)で作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
127
あの人もそうだったから、飲んだから、持っているから、診てもらったから・・ただそれだけで『安心』するのが日本人なのかもしれないなぁ。そこへこれだ!さすがは久坂部ドクター。不思議に思っていた事へバスバス斬りこむ。TVの健康不安を煽る番組のなんて多い事か。食品とて、あれもこれもと食べてしまい結果、太りはしないか?ケンカしないか?検診はどこかの回し者だとはうすうす気づいてはいたが、行政に補助金が下りる仕組みになっていたら受けざるを得まい。『痛し痒し』の本書、一読の価値はあると思う。貴方の判断は?2017/11/12
里季
50
いろいろな幻想に惑わされる患者とその家族。病院や医者も患者の方もからくりに気をつけないと馬鹿を見る。そんな医療現場をかなり思い切って見せてくれた久坂部さんだった。これだけネタがあれば、あと何冊も小説書けますね。面白かったです。2018/05/26
キムチ27
34
筆者の小説は感覚的に受け入れられないが、この時評論はなかなか。同感の個所が数々。随所に「それは幻想でしかない」が繰り返される。時代はそこへ行きついて行くのだろうか・・戦後69年を経て平和なる繁栄を「つかめる」はずだった今。 世界に例のない超高齢社会、カッコつきの高学歴願望、そして格差社会。だが生老病死は平等に訪れる。その鍵の一端を担う医療職。マスメディアは離れる視聴者を引き付ける為、なりふり構わず、口当たりのいいフレーズを流し、唯々諾々たるタレント文化人を揃える。語られるのは四方丸く収まるような予定調和。2014/01/28
うめ
33
小説が面白いからと新書を手にしたらやっぱり面白かった。老いるのも死ぬのも当たり前。だけど、その当たり前を吞み込むのが、難しかったりする。医療従事者側として、確かに終末医療の考え方は著者と一致するかもしれない。麻薬を使って痛みを抑え、病とは戦わずに、まったり家で過ごしたい。2016/10/16
マリリン
31
物事を多角的に見るように心がけているので、医療現場の一面を知りたくて手にした。検診・基準値・老化・医師不足等なるほどと思う事が多い。「マスメディアが拡げる幻想」「病院へ行けば安心という幻想」興味深い。「高齢者の医療幻想」の中の*終末期医療への幻想は特に。酷い長生きか、楽な早死にか...本人が何を求めているのか...「本人の気持ち」そもそも一定しないという。ふだんからの心づもり...か。望ましい最後を迎える事は難しいというが、病院で最期を迎えるのは嫌だ。スーパー老人になれなくてもいい。自然が一番だと思った。2019/11/03