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ちくま新書
万博幻想―戦後政治の呪縛

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  • サイズ 新書判/ページ数 302p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480062260
  • NDC分類 606.9
  • Cコード C0236

出版社内容情報

大阪万博の成功は、その後の日本人の意識にトラウマのように取り憑いてきた。「万博」に焦点を当てることで見える、戦後日本列島の風景をあざやかに描き出す。

内容説明

高度成長の頂点を象徴する大阪万博から数え、二〇〇五年の愛知万博は日本で開催される五度目の万国博覧会である。その間、万博は一貫して、豊かさへの大衆的な欲望と国家の開発主義政策との癒着を可能にする仕掛け―万博幻想―として機能してきた。本書は、こうした「幻想」を広く長く作用させてきた「政治」の場としての万博の内実とその行く末を、国家と地方行政、財界、知識人そして大衆の間に繰り広げられるせめぎ合いに焦点を当てることで浮き彫りにする試みである。

目次

序章 戦後政治と万博幻想
第1章 成長のシンボルとしての万博―東京五輪から大阪万博へ
第2章 沖縄海洋博という分身―「本土復帰」と万博幻想
第3章 学園都市と科学万博―つくば科学博と幻想のほころび
第4章 Beyond Development―愛知万博の転変と選択
終章 万博幻想と市民政治

著者等紹介

吉見俊哉[ヨシミシュンヤ]
1957年東京都生まれ。東京大学教養学部卒業。同大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。専攻は、社会学、文化研究。東京大学社会情報研究所教授を経て、東京大学大学院情報学環・学際情報学府教授
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヤギ郎

7
2005年3月発行。1970年大阪万博、1975年沖縄海洋博、1985年つくば科学博、2005年愛知万博の日本で開催された4つの万博について、戦後日本の成長の中に位置付けて、万博が政治や社会にもたらした影響を分析していく。具体的な制度や法律といった実務の面ではなく、万博開催決定までの意思決定や国民・市民の意識に目を向けている。大きなイベントが行われるといろいろと利益が得られる。この利益が「幻想」となって多くのものを飲み込んでいく。万博にいろいろ問題があるけれど、個人的には一度万博へ行ってみたいと思う。2023/03/15

misui

4
戦後日本の万博を辿り、その政治的な様相を論じる。対象は大阪万博、沖縄海洋博、つくば科学博、愛知万博の四つ。日本における万博とは莫大な公共事業投資と結びついた国家的な「動員」イベントであって、開発事業の隠れ蓑に過ぎない。あるいは大衆の欲望や夢を映し出しもしようが、その裏に働く力学はもっと政治的で生臭いものだ。本書では万博の性格が開発を指向するものから外れてきたことと、市民意識の高まりなどから今後の日本では万博のようなイベントを開催する旨味がなくなってきたとしている。めっぽう面白い本だがいささかげんなりした。2014/10/19

msykst

3
沖縄の行き帰りの飛行機で読んだんだけど、すげータイムリーだった。4つの万博を追って見えるのは、「自民党的な戦後体制がどんどんアナクロニックなものになっているのに、尚それを維持しようとした時に生まれる喜劇的な状況」ですよね。沖縄の基地工事現場で見聞した事はまさにグロテスクで笑える事態で、もうこの政治体制は限界なんだなーと感じた所だった(無論沖縄の場合には政治地理的な条件もあるけど)。この本では市民参加の可能性については両義的だけど、上梓されて10年経ち、原発事故も経た今考えるとやや楽観的に見える。2015/11/02

あかふく

3
『博覧会の政治学』の著者として愛知万博に関わった著者が、そこで見えてきた前著では気付かなかった万博の問題について、愛知万博を念頭に置きながら再述し、愛知万博が何故混迷したのかを語る。そこから見えてくるのは、万博が国家のプロジェクトとしてありながら大衆の欲望をそこに同一化させていくようなものとしてあり(知識人の関係、「未来都市」のヴィジョン)、大きな意味での〈政治〉ではなく政治的エージェントの交渉、衝突の場として「政治」的でもあったということだ。それはまた、今後の社会の政治のあり方を示しているのかもしれない2014/04/06

8810mcd

1
過去の万博もみんなグダグダしつつ何とかやり切っているんだな。2020年(2021)東京オリンピックのグダグダっぷりを見て2025年の大阪万博大丈夫か?と心配していましたが、少し安心できました。2022/06/26

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