内容説明
助監督時代や戦時下での映画製作、東宝争議など、青春時代の黒沢明に始まり、監督デビュー、そして世界のクロサワとなるまでを、助監督として支え、同時代を生きた堀川弘通が綴る。巨匠の知られざる人間像を明かした初の本格評伝。第11回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作。
目次
第1章 道を模索して
第2章 助監督時代
第3章 戦時下の映画作り
第4章 自由の風と争議の中で
第5章 『七人の侍』
第6章 上げ潮
第7章 世界へ向かって動く
第8章 戦国合戦絵巻とプライベートシネマ
著者等紹介
堀川弘通[ホリカワヒロミチ]
1916年京都生まれ。映画監督。’40年、東大文学部を卒業。同年東宝に入社。黒沢明監督の「わが青春に悔なし」「生きる」「七人の侍」などの助監督をつとめた後、’55年「あすなろ物語」で監督デビュー。以後、「女殺し油地獄」「裸の大将」「黒い画集・あるサラリーマンの証言」「狙撃」「軍閥」などの話題作を撮る。東宝を離れ、フリーとなってからの作品に「花物語」「エイジアン・ブルー」などがある。『評伝・黒沢明』で第11回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞した
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感想・レビュー
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ウチ●
3
ちくま文庫はいつも気になる本を文庫化していてくれたりするんですよね。これもそう。積ん読になっていたが、先日、著者の訃報が新聞紙面に掲載されて読み始めました。いわば巨匠の弟分として同時代を生きた著者ならではの決して平坦ではなかった道程とそんなことがあったのか!ということのてんこ盛り。山本周五郎作品と黒澤監督、著者、の間にこんなことが・・・!最終頁の「クロさんの絶筆」が泣かせます。 2012/10/18
kaz
2
単行本で再読。今日は寒い日だったと書けば11文字だが、これを映画で表現するのがどれだけ大変かという部分に成程(同時に文章の力を再認識)と思う。あの作品群(「七人の侍」「天国と地獄」「椿三十郎」は誰がいつ観ても面白いはず)には、実現できることなら妥協しない強い意志と、ダメだったら次の手を打てる柔軟さが必要だったのだとも。この点、どんな仕事にも当てはまるとは思うのだが、映画なら時間や場所を容易に越える成果を遂げることもできるから羨ましい。なお、本書で初めて明かされた事実関係も多そうで、貴重な記録という印象。2020/02/04
荒川ながれ
1
面白い。黒澤は明治44年生まれ。挫折続きの青年時代、助監督時代にデコ(高峰秀子)と噂になったこと。終戦直後ジョン・フォード監督が見学に来ていたこと。労働争議のこと。志村喬・三船敏郎との出会いのこと。撮影が長期になり、予算の問題で東宝から独立して、黒澤プロダクションができたこと。成瀬監督は淡白な撮影。黒澤は強いこだわり。個々の作品のこと。身近で黒澤を見ていた助監督が書く黒澤への思い。盛りだくさんな内容。2018/08/10
tkm66
0
資料2003/10/23